多くの懸賞金が下位力士の手に
霧島、熱海富士、安青錦による巴戦による優勝決定戦となった大相撲名古屋場所。夏場所を全休して関脇に陥落した安青錦が、史上初となる10勝以上での大関返り咲きと優勝を同時に達成した。豊昇龍、大の里の2横綱にとっては不甲斐ない場所にもなったが、それによって動いたマネーも大きなものだった。
今場所は三段目、幕下、十両、幕内とすべて優勝決定戦ということで、午後6時に終了するはずだったNHK大相撲中継が20分も延長する異例の千秋楽となった。ただ、さらに異例だったのは東西の横綱が一度も優勝争いに加わることができなかったことだろう。
2場所連続休場明けとなった大の里は初日・義ノ富士、2日目・藤ノ川と連敗。4日目にも豪ノ山に不覚を取り5日目までに3敗。優勝争いどころか、勝ち越しも危うい状況となった。4連勝後も安青錦、熱海富士、霧島に敗れ、勝ち越したのは14日目。大の里にとって休場した場所を除き、最も遅い勝ち越しだった。
東横綱の豊昇龍も3日目に藤ノ川に黒星をつけられると、6日目に敗れた伯乃富士戦で右膝を痛めた。その影響で9日目、10日目、12日目、13日目と敗れ、横綱9場所で4回目の休場となった。
土俵には「カネが埋まっている」と言われる大相撲だが、この両横綱が名古屋場所で下位力士たちにもたらした“カネ”はどれぐらいになるのか。
金星4個の“お値段”
両横綱の名古屋場所での黒星は、14日目の豊昇龍対霧島戦の不戦敗を除き12。うち平幕に敗れた金星は4個ある。横綱を倒した殊勲の金星に対しては、力士へ本場所ごとに給料とは別に協会から支給される持ち給金(褒賞金)が10円上がることになる。協会関係者が言う。
「実際には10円を4000倍した4万円が引退するまで場所(年6回)ごとにもらえる。金星1個を獲得すれば、その後10年間関取として現役を続けることで240万円の収入アップとなる。
2日目に大の里、3日目に豊昇龍を破った東前頭筆頭の藤ノ川は2日間で持ち給金が20円上がり、来場所から引退するまで関取である限り8万円が支払われることになる。協会の持ち出しが増えるため、『金星配給王』と呼ばれるような平幕力士に弱い横綱では相撲協会も引退勧告をすることもあります」
名古屋場所で両横綱が与えた金星4個で、協会は来場所から16万円の出費が増える。1年で96万円、10年で960万円となる。
