史上最多の水準に
大相撲名古屋場所が7月12日、初日を迎えた。今場所の懸賞申し込み本数は3504本(2億1024万円、力士の手取り1本6万円で計算)に達し、地方場所として過去最多を記録した。これまでの地方場所の最多は今年3月の大阪場所の2724本で、780本の大幅更新となる。地方場所は、年3回の国技館での東京場所に比べて本数が少なくなるが、今場所は東京開催の今年1月の初場所を上回る水準に達している。
今年5月の夏場所の懸賞も顕著に多かった。申し込み件数は過去最多の4241本に達し、新規申し込み企業数も30社あった。力士別の指名懸賞ベスト3の横綱・大の里、大関・安青錦(当時)、横綱・豊昇龍が休場となったことで取りやめの懸賞もあったが、上位陣の不在により過去最多の懸賞は下位力士たちにも幅広く行き渡るかたちとなった。
2年前からおよそ2倍の本数に
元横綱の白鵬翔氏が監修した『大相撲サンクチュアリの深淵』(主婦と生活社)で「相撲人気が回復してから懸賞は増えたように感じます。幕内前半でも10本とか出ることは現役のころはあまりなかったので、うらやましいですね」とコメントしている。協会関係者が言う。
「もともと懸賞は1場所600本程度で年間4000本前後だった。1990年代の若貴ブームで急増したものの、それでも1場所1100本を超えるのが精一杯で、若貴の引退後は700~1100本の間くらい。2011年の野球賭博、八百長騒動で大きく数字を落としたが、その後は右肩上がりで2014年には1場所平均1200本(年間7200本)となり、10年後の2024年には1場所2000本(年間1万2000本)の水準となった」
チケットが完売し、相撲人気が拡大するとともに懸賞の数は増え、毎場所のように最多記録を更新。2年前のおよそ2倍に膨れ上がっている。
今場所の初日にかかった懸賞は296本。結びの一番の豊昇龍対王鵬には58本が集中したが、中入り後の最初の取組の旭海雄対朝紅龍戦の9本はじめ幕内の21番にはすべて懸賞がかかった。
先場所は9人の三役のうち、横綱2人と大関2人はじめ5人が休場。獲得本数のランキングにも異変が見えた。最も多く獲得したのは優勝決定戦で敗れた大関・霧島の508本で、2番目は9勝6敗だった関脇・熱海富士の354本。3番目が優勝した若隆景で217本だった。
大の里よりも多い霧島、熱海富士
以下、義ノ富士(175本)、王鵬(139本)、豪ノ山(133本)、宇良(131本)の平幕勢が続き、関脇・琴勝峰(119本)、平幕の大栄翔(119本)という順になった。下位力士も多くの懸賞を手にしており、幕尻だった藤凌駕が87本、東前頭15だった翔猿が68本、東前頭14だった御嶽海が64本と軒並み50本を超えた。
今年に入って横綱や大関陣の休場が目立つため、懸賞総本数は霧島(855本)や熱海富士(699本)が、横綱の大の里(498本)を大きく上回っている。今場所も力士別の指定では横綱・大の里が170本で最多。大関・琴櫻159本、欧勝馬145本、大関・霧島137本、横綱・豊昇龍は108本と続いている。相撲ジャーナリストが言う。
「横綱や大関に多くの懸賞が懸かると、下位力士は目の色を変えて向かっていく。今場所も上位陣に休場者が多く出ることになれば、下位力士に分散される懸賞を巡って白熱した戦いが繰り広げられる」
今場所も戦国場所となるのか、あるいは横綱や大関が圧倒的な強さをみせつけるのか。懸賞を巡る熱い15日間の戦いが始まった。
