*12:03JST propetec Research Memo(3):AI査定等のテクノロジーの活用がマンション買取再販事業を後押し
■property technologies<5527>の事業概要
1. 事業内容
同社は、中古住宅再生事業と戸建住宅事業を手掛けている。売上構成比の9割近くを占める中古住宅再生事業では、AI査定や物件管理システムなどのテクノロジーをリアルな不動産事業に活用したスタンダードマンションやプレミアムマンションの買取再販事業、ソリューション(開発)事業を行っている。このほか、ポータルサイト「KAITRY」で個人から物件を直接仕入れるiBuyer(オンライン買取再販)機能や物件を直接販売する機能を提供、AI査定などの有料SaaSサービスも展開している。こうしたテクノロジーは同社の特徴で、マンション買取再販事業の業績を押し上げる役割を果たしている。
主力のマンション買取再販事業では、全国主要都市に擁する15の拠点を中心に、仲介会社や直接仕入を通して時流にあった区分所有の中古マンションを厳選して買い取り、リノベーションを施したのち、仲介会社を経由して実需購入者に再販する事業を行っている。都心のプレミアムマンションの買取再販と投資用賃貸物件の販売は、近年の事業環境や顧客ニーズを踏まえて開始した事業である。一棟ビル・マンションの買取販売や再開発関連などソリューション(開発)案件も、これまで1年に数件程度行ってきた。戸建住宅事業では、顧客の要望に応じた新築注文住宅の建築請負などを行っている。なお、同社を持株会社に、(株)カイトリーを子会社に持つホームネットが中古住宅再生事業を行い、ファーストホームとサンコーホームの2社が戸建住宅事業を展開している。
スタンダードマンションを主力に高級タイプや開発も展開
2. 中古住宅再生事業
(1) マンション買取再販事業
マンション買取再販事業では、「FURVAL」というリノベーションブランドで、厳選された家具や生活必需品の家電、調理器具などを、デザインや機能、サイズなどリノベーション空間にあわせて取り揃え、家具や家電を含めた価格で販売し、顧客の時間的労力や金銭的な負担を軽減している。なお、ホームネットでの購入者に限定して、住宅設備故障の際に10年間何度でも利用できるアフターサービス「住設あんしんサポート」を提供している。
マンション買取再販事業の特徴は、北海道から沖縄までの主要都市部で、30~40代の一次取得者層をターゲットに、リアルなネットワークとテクノロジーを駆使して事業展開している点にある。ターゲットが一次取得者層であることのメリットは、子どもの成長など顧客のライフサイクルからニーズが明確に判断できるうえ、安定した実需が期待できる点にある。一方、一次取得者層にとっても、東京都の中古マンション平均価格が67百万円であるのに対して同社は37百万円と、一般的な借入期間で一定の金利上昇があったとしても住宅ローンの返済額が家賃以下になるという値ごろ感が大きなメリットとなっている。
また、地方圏の比率が同業他社は4割程度だが同社は約6割と高く、地方に強いことも特徴である。地方圏は築30年以上の物件が増加しつつあるにもかかわらず競争が緩やかなうえ、物件密度が薄く営業効率が低いが、同社は広範な営業ネットワークを生かして効率的な情報交換を行えるため、地方を収益源にできる。仕入面の特徴は厳選仕入にあり、単に安くて利益が出そうな物件を数多く探すのではなく、地域や価格帯、商品内容などの豊富なデータをテクノロジーによって15拠点ごとに厳密に分析することで、地域に適した顧客満足度の高い物件を選別する仕組みとなっている。さらに、厳選仕入を営業一人ひとりに徹底することで、高収益で高回転の物件比率が高まるとともに、長期在庫のリスク低減にもつなげている。こうした特徴を背景に、中古マンション買取再販において、短期間で年間販売件数全国3位にランキングされるなどトップクラスの地位を占めるようになった。
同社は、スタンダードマンションに加え、東京を中心に横浜や大阪、京都、福岡、沖縄において、眺望や立地などを資産価値と捉えたプレミアムマンションの買取再販を行っている。プレミアムマンションでは、富裕層の実需や資産運用をターゲットにした平均販売価格5億円程度の、たとえば東京タワーが窓の真ん中に見え、将来遮るものが建たない眺望の良いタワーマンションの1室など、差別化のきいた唯一無二な物件を厳選している。スタンダードマンションとはターゲットが異なるため、専用サイト「眺望マンション HOMENET」で紹介しており、仕入・販売要員も別部隊となっている。スタンダードマンションが商品化まで1.5〜2ヶ月かかるところ、プレミアムマンションはタワーマンション高層階が多いため工事の制約が大きく、3〜4ヶ月の工期になることが多いが、採算はスタンダードマンションに比べて高いようだ。取り扱いを始めて2年程度の事業だが、差別化ポイントが同業他社に比べて明確なため、顧客の引きが強く銀行融資も良好のようだ。
また、東京を中心に一棟マンション・ビル、再開発、土地の有効活用など、リスクを抑えながら高収益な開発案件を組成するソリューション事業にも力を入れ始めた。これまで経営トップを中心に10億円程度の開発事業を単発で行っていたが、開発〜販売のリードタイムが長く資金が寝がちになるため、顧客の見える手頃な2〜3億円の小型案件までターゲットを広げる形で事業強化を進めている。このため要員を増やしてチームを組成し、名称も「開発」から「ソリューション」へと改称した。引き続きスタンダードマンションが成長ドライバーだが、次期中期経営計画のなかでは、プレミアムマンションとソリューションが2〜3本目の柱となることを見込んでいる。
(2) SaaSサービス
仲介会社などの要望もあって、AI査定や「KAITRY」など同社が開発してきたシステムを、法人向けにSaaSサービスとして有料で提供している。ターゲットは全国33,000社以上の仲介会社だが、不動産会社全体の約31万社や、不動産関連業務を幅広く扱っている弁護士などの士業約41,500事業所、約1,000の金融機関へと拡大する可能性もあるビジネスと言える。一方、SaaSプロダクトの提供により取引先などと関係強化を図ることで、物件紹介という形での同社収益へのフィードバックも期待できる。現在、金融機関向けに「KAITRY finance」、士業向けに「KAITRY professional」、仲介会社向けに「HOMENET Pro」という3つのSaaSプロダクトを開発し提供している。このうち特に「KAITRY finance」は、AI査定や不動産価格調査書の作成、顧客提案力の充実などを通じて業務の効率化や金融サービスの高付加価値化が可能なため、幅広い金融機関の複数の部署でニーズが強く、すでにみずほ信用保証など8社に導入されている。今後は引き続き「KAITRY finance」を中心とした拡大を図る一方、マンション買取再販事業の強化にもこうしたテクノロジーの利用を進めていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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