*11:07JST 売れるG Research Memo(7):2026年7月期は一部既存事業の不調で業績低迷
■売れるネット広告社グループ<9235>の業績動向
1. 2026年7月期の業績動向
2026年7月期の業績は、売上高が1,661百万円(前期比6.0%増)、営業損失が543百万円(前期は営業損失166百万円)、経常損失が540百万円(前期は経常損失169百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失が1,107百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失444百万円)となった。期初予想に対しても、売上高で219百万円、営業利益で557百万円の未達と厳しい状況となった。また、子会社でソフトウェアとのれんの減損損失、同社で投資有価証券評価損を特別損失として計上したため、親会社株主に帰属する当期純損失の幅が広がった。
同社が属するインターネット広告市場は引き続き成長傾向にあり、インターネット広告費も2ケタ成長となったと言われている。一方、インターネット広告においては、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」及び「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」などへの適切な対応が引き続き求められている。同社は、こうした法令を遵守しつつ、A/Bテストなどを活用して広告効果の向上に努めるなど既存事業の収益力強化に取り組んだ。また、M&Aや新規事業への投資を通じて事業ポートフォリオの拡大を進め、マーケティング支援事業では、(株)売れる越境EC社が米国子会社Ureru Global EC Inc.を設立して米国市場における事業展開に向けた取り組みを進めるとともに、ADWAYS CHINA/ASIAを子会社化して中国向けのマーケティング支援を強化した。デジタルアセット・Web3事業では、SOBAプロジェクトの株式を取得する一方、ビットコイン・セイヴァーを設立した。コマース事業では、子会社化した国際漢方研究所の健康飲料累計販売本数9,000万本超の商品開発力と約8万人の顧客基盤に、同社のマーケティングノウハウを組み合わせた取り組みを開始した。さらに、データセンターなどAIインフラ領域への参入を目的に、BCDC.Aiを設立した。
この結果、売上高については、M&Aなどを背景に事業領域が拡大したことで増収を確保した。利益面では、一部既存事業で売上高が期初計画を下回ったことに加え、M&Aや新規事業に伴う先行投資、事業拡大に関連する人員体制の強化、貸倒引当金の計上などにより営業損失の幅が広がった。期初予想との比較で売上高が未達になったのは、売れるネット広告社(株)における既存事業の未達、オルクスにおける集客チャネルのアルゴリズム変更の影響、売れる越境EC社における中国ライブコマースの開始遅延などの影響による。営業利益が未達になったのは、既存事業の未達に加え、M&A関連費用や貸倒引当金、商品評価損など一過性費用の発生による。親会社株主に帰属する当期純損失では、特別損失計上の影響もあった。ただし、構造的なものには既に手を打ち、一過性のものは一巡しつつある。
セグメント別の業績は、マーケティング支援事業が売上高704百万円(前期比6.4%増)、セグメント損失64百万円(前期はセグメント損失103百万円)、コマース事業が売上高106百万円(同51.0%減)、セグメント損失99百万円(前期はセグメント損失40百万円)、グローバル情報通信事業が売上高653百万円(同5.1%減)、セグメント利益8百万円(同88.4%減)、デジタルアセット・Web3事業が売上高197百万円、セグメント損失10百万円となった。主力のマーケティング支援事業に回復感が見られたが、全般的に厳しい状況となった。
マーケティング支援事業のマーケティング支援サービスでは、前期に発生した不正注文問題及び一部大手クライアントにおける広告費用対効果悪化の影響が残るなか、各種対策を進めたことにより回復基調となった。しかし、新規受注と広告効果が得られなかった既存顧客からの受注が当初想定を下回り、ライブコマースの開始時期が後ろ倒しとなったこともあり、売上高は当初計画を下回った。運用型広告は、新たな広告媒体への対応を進めるなど売上拡大に向けた取り組みを実施したが、一部大手クライアントの広告予算減少などにより期初計画を下回った。ただし、従来ECを入口に受注することが多かったが、ECを入口としない受注が増えており、媒体とクライアントの2軸で領域を広げることができた。売れる越境EC社については、中国市場向けTikTokライブコマースとTikTok Shop運営代行サービスなどを受注したが、現地でのライブ配信の準備や運営体制の構築に想定以上の時間を要したため、一部案件のサービス提供開始が2027年7月期以降となった。
コマース事業は、前期に主要集客チャネルでアルゴリズムの変更があった影響からは回復傾向となったものの、当初想定どおりに至らなかった。広告・販促施策も見直したが、効果発現に時間を要したことから売上高は期初計画を下回った。このため、集客チャネルの多様化や販売効率の改善など、コスト構造の見直しを進めているところである。グローバル情報通信事業は、主力の教育旅行向けを中心に受注は堅調に推移したが、コロナ禍後に盛り上がった海外やイベント向けが想定を下回ったため、売上高は期初計画を下回った。デジタルアセット・Web3事業は、「SOBAフレームワーク」を活用した教育・会議・Web3分野向けソリューションサービスが期初想定を下回った。暗号資産復旧支援事業は、複数の案件が進行しているものの、期末までに復旧完了や売上計上に至らず、業績寄与は限定的なものとなった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田 仁光)
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