PC購入を推奨するが、強いることができない事情
Aさんはさらに、学生が使いやすいと感じる端末やソフトと、教員側の想定との乖離も感じているという。
「たとえばプレゼン資料を作る場合、私のような年長者からすると、パソコンでPowerPointを使うのが便利だと感じます。でも、学生は『タブレットでCanvaを使う方が楽』だと言うんですね。一方で、PowerPointだけでなくWordを使えない学生も多く、『レポートが書けません』『スマホでもWordは使えますか?』と相談されることもあります。
『大学には貸出用のPCもあるし、できればPCを使ってほしい』と説明します。本音を言えば、日頃から慣れるために『自分用のノートPCを買ってください』と言いたい。ただ、家庭ごとに家計の問題もあるでしょうし、奨学金を借りている学生も多いので、購入を強いることはできないんです」(同前)
「Canvaって何?」資料作成の出発点にも差が
便利なデジタルツールやデバイスが普及するなか、その使用経験には学生間で差があると感じる教員もいる。
関西圏の私立大学に勤務する大学教員の男性・Bさん(40代/文学部)も、学生間の使用経験の違いを気にかけている。
「立派なプレゼン資料を短時間で効率的に作れる学生と、『Canvaって何それ?』『プレゼン資料ってどうやって作るの?』と、初歩的なところでつまずく学生とで、二極化している印象があります。高校時代までに、どのようなツールやデバイスに触れてきたか。その経験の差が、大学生になったあとのITリテラシー格差に直結していると感じます。
家庭の事情だけでなく、出身高校の授業でデジタル機器を使う機会がどれくらいあったか、という違いもある。同じ課題に取り組む場合も、使い慣れたツールで制作を始められる学生と、作り方をイチから覚えなければならない学生とでは、出発点が大きく異なることを実感します」(Bさん)
スマートフォンやタブレットに慣れ親しんでいても、PCの所有状況やソフトの使用経験はさまざまだ。購入費用に加え、家庭や高校で触れてきた機器、本人が使いやすいと感じる端末も異なる。現場で学生に接している教員の目には、「デジタルに強い若者」というイメージだけでは見えにくい、学生の学習環境の差異が浮き彫りになっているようだ。
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【はじめから読む→】「見た目は立派なのに、内容が…」Canvaで発表資料を作る大学生たちが陥りがちな落とし穴