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百貨店の減少の背景 「ハレの日」なくなり物を買うことに飽きた

百貨店最大手の三越伊勢丹は昨年度、8年ぶりに赤字を計上

 1990年代に9兆円を超えていた売り上げも、6兆円まで減少した百貨店業界。1999年には311店舗あった店舗数は、2000年代に入って以降、閉店が相次ぎ、全国に206店舗まで数を減らした。その背景には、「ハレの日」がなくなり消費行動がカジュアルになった点が挙げられるというのは、三井不動産株式会社・ベンチャー共創事業部の光村圭一郎さん。光村さんが、百貨店の減少について語る。

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 ショッピングモールが活況だから百貨店にかつての元気がなくなったかというと、一概にそうともいえませんし、ショッピングセンターの未来も決して安泰ではありません。家族で着飾って、包装紙に包まれた高額商品を購入して食堂でパフェを食べるという、いわゆる「ハレの日」という価値観自体が薄れていて、そもそも私たちは「物を買う」ことに飽きてきてしまっています。

 中国人の爆買いというのは、中国人にとって「物を買う」という行動が珍しかったから。実際に彼らもある程度経験したら、買い物慣れしてしまい、最近では爆買いも話題になっていません。「物を買う」という体験が面白くなくなってしまっている以上、何か別のフックで消費行動を仕掛けていかなければいけません。

 DIY体験や、子供の職業体験など、“やってみたい”と思わせる体験型、文化やエンタメ、イベントなどを充実させたり、ということが求められていると思います。百貨店に元気がない=百貨店に魅力がなくなった、というよりは、私たち消費者が求めるものが今の百貨店には乏しい、ということではないでしょうか。

※女性セブン2018年6月7日号

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