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金融のプロも失敗する老後対策 張り切りすぎることがリスクに

“安易な老後対策”には注意が必要(イメージ)

「老後のための貯金は3000万円は必要」「退職金は運用して増やしたほうがいい」「相続税の課税対象が広がったから早めの対策を」――いま、世の中にはやったほうがいい老後対策の情報が氾濫している。だが、お金のプロたちはむしろ、何をやってはいけないのかを知っておくべきだと、警告している。

 実は、性急な対策の結果、かえって老後資産を目減りさせてしまうケースが増えてきているという。細かい対策を知りすぎることは、必ずしも豊かな老後にはつながらないのだ。元国税調査官でベストセラー『やってはいけない老後対策』著者の大村大次郎氏が解説する。

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 世の中にあふれる様々な「老後対策」の情報を鵜呑みにしてはいけません。

 例えば、「老後資金として3000万円の貯蓄が必要」という話。これは、2つの数字が“根拠”になっています。生命保険文化センター「生活保障に関する調査」(2016年)が示す、老後にゆとりのある夫婦生活を送るために必要な額(月35万円)と、厚労省が示すモデル世帯の夫婦の年金額(月22万円)です。

 すなわち、豊かな老後生活を送るためには、毎月13万円が不足する計算になります。それが仮に95歳まで続くとなると……という計算から、退職金の額を加味しても3000万~4000万円程度の蓄えが必要になる、という話が導き出されているのでしょう。

 しかし、退職するまでに3000万円を貯められる人はほんのひと握りしかいませんし、実際はその必要もありません。車を手放してカーシェアリングに切り替える、といった「生活のダウンサイジング」を心がけた上で、活動的に生きられる「健康寿命」(日本人男性は約72歳、女性は約75歳)を過ぎれば、必要な生活費は自然と減っていきます。

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