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全国シェア70%の「播州そろばん」、ルーツは秀吉の播磨平定

『あさが来た』で使われたそろばんはレプリカも製造され人気に

 かつては、「読み書きそろばん」が勉強の基本といわれ、家庭になくてはならない存在だったそろばん。だが、電卓やスマホに代用されるようになり、今では、ドラマの小道具などで見かけると、懐かしいと思うような存在に。

 2015年9月から放送されたNHK連続テレビ小説『あさが来た』では、波瑠が演じるヒロインのあさが、“パチパチはん”と愛おしそうにそろばんをはじく姿が話題となった。この『あさが来た』で登場したそろばんを手掛けたのが、兵庫県小野市のそろばんメーカー『ダイイチ』だ。その歴史を同社代表の宮永信秀さんは次のように語る。

「播磨平定の足掛かりに羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)が兵庫県の三木城攻めを行ったのですが、その戦火を免れるために人々は大津(滋賀県)に逃れました。その当時、大津ではすでにそろばんが作られていたので、三木の人々はそれを手伝いながら暮らしていたのですが、戦も落ち着き故郷に戻ると、大津で覚えたそろばん作りを開始。それが小野市にも伝わって、盛んに作られるようになりました」(以下同)

 小野市のそろばんは、『播州そろばん』と呼ばれ、今や全国の製造シェアの70%を超えている。

「玉を削る人、玉を染色して穴を開けて玉仕上げをする人、玉を通す軸になる“ひご竹”を作る人、最後にそれぞれのパーツを組み立てる人など、分業して作っています。玉は“オノオレカンバ”という大木を使用しています。斧が折れるほど硬いので、何十年経っても丈夫で長持ちしますよ」

 削った玉は茶色などに染められ、“ひご”と呼ばれる棒に刺し、組み立てる。その工程は100以上。1度に200~300挺のそろばんが作られ、完成するのに約2~3週間かかる。

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