キャリア

世帯年収と子供の学力、比例するのは「年収1200万円」まで

中3の数学Aでは正答率に20%以上の差

 小6・中3とも、親の収入に比例して子供の学力が高くなるという結果が、今回、明白に示されたのだ。特に、世帯年収と学力の差が顕著だった中3の数学Aでは、「世帯年収200万円未満」の子供の正答率が51.2%だった一方、「1000万~1200万円」の子供の正答率は74.3%に達した。

前出のおおたさんは、世帯年収と子供の学力が本当に示すのは「日本社会の格差」であると指摘する。

「高い年収を稼げる親は、偏差値の高い学校を出た高学歴の人が多い傾向にあります。理由は、今の日本社会のシステムでは、一流大学を卒業した高学歴の人間ほど一流企業に入っていい仕事を得るチャンスに恵まれ、結果として収入が高くなるから。その一方で、例外はありますが大学中退など途中で道がそれてしまえば、就職試験すら受けられない会社も多い。親の格差が、子供にも受け継がれてしまう風潮が、このデータから読み解ける」

 もちろん、親の収入が多ければ、塾や家庭教師にお金をかけることで、学校の授業だけを受けるよりもさらに大きな学習効果を得られるという側面もある。大手中学受験塾で1年にかかる費用は平均100万円ともいわれており、高収入の世帯でなければ払うのはかなり難しい。東京大学の「学生生活実態調査」によれば、東大生の親の62.7%は年収950万円以上だという。

 しかし、親の年収が高ければ高いほど、子供の学力が上がり続けるわけではない。今回の調査によると、中3では年収1500万円以上の世帯より、年収1200万~1500万円の世帯の方が子供の学力が高かった。

「一定のレベルに達すると、そこから先はいくら年収が上がっても親の能力は変わらず、その結果、子供に与える影響も変わらないと考えられる。年収1200万円の一流企業のサラリーマンと年収3000万円のベンチャー企業社長では、それほど能力に大きな差はないし、お金持ちになるかどうかは運もあります。その境目が年収およそ1200万円ということでしょう」(おおたさん)

※女性セブン2018年9月27日号

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