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年金の損益分岐点 95歳まで生きなければ元がとれない時代へ

受給開始年齢引き上げが実現すると「損益分岐点」はどう変わるのか(写真:時事通信フォト)

 年金の支給開始年齢を現在の「65歳」から「70歳」に変更するという、年金制度の大改悪が水面下で着々と進んでいる。間もなく訪れるそんな時代の到来で、受給者はどんな状況に置かれるのだろうか。

 自分が生きているうちは、ずっと受給できる。年金とはそういう制度だ。現役時代には給料の18.3%の保険料を納付する「義務」を果たす代わりに、リタイア後にどれほど長生きしても決まった額の年金を受け取り続ける「権利」を得る。保険料は年々上げられ、一方で支給額は減らされてきたが、それでも老後生活における年金への依存度は高い。現実に、老後の定期収入のすべてを年金に頼る高齢者が大半だ。

 政府(財務省、厚労省)が進めてきた年金制度改悪は、「生きている限り払い続けなければならないなら、支払い開始を遅らせればいい」という考え方に他ならない。その結果、55歳でスタートした支給開始年齢は60歳、65歳と引き上げられ、ついには「70歳」が決まろうとしている。

 だが、いくら日本が高齢化しているとはいえ、年金制度に合わせて人間の寿命も延びるわけではない。支給開始が後ろ倒しされれば当然、受け取れる期間が短くなる。それどころか、受給資格を得る前に“お迎え”が来てしまう人も増えている。

 ロシアではこの夏、男性の年金支給開始年齢を60歳から65歳に引き上げた。同国男性の平均寿命は66.5歳なので、保険料を納めても半数近くが、1円も受給できないまま人生を終える。そんなブラックジョークのような年金制度がG8国家で現実になっている。

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