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田代尚機のチャイナ・リサーチ

本当に絶好調? アメリカ消費をかさ上げしているものの正体

今年のブラックフライデーの消費は絶好調に見えるが(ニューヨーク。Getty Images)

 アメリカでは11月の第4木曜日は感謝祭で祝日となるが、その翌日がブラックフライデーである。この日も休日とする職場は多く、クリスマスセールが始まる日でもある。ブラックフライデーはこれから年末にかけての消費を見通す上で重要な1日とされる。

 Adobe Systemsによれば、今年のブラックフライデーにおけるEC取引額は62億ドルで前年同日比で23.6%増と大幅に増加している。数字だけ見るとアメリカの消費は非常に好調に見えるが、この結果を評価する際には、考慮すべき点がある。

 11月1~23日のオンラインストアへの端末別アクセスをみると、スマートフォンが全体の49%を占めている。PCの43%、タブレットの8%を抑えて、今年初めてトップとなった。スマホから気軽にEC取引を行う消費者が増えており、この10年間アマゾンが快進撃を続けていることも考え合わせると、イノベーションが着実に浸透しているようにも見える。

 一方で中国のEC取引事情と比較するとどうだろうか。アリババは今年の独身の日である11月11日、1社だけで2135億元(307億ドル相当、1ドル=6.95元で計算)を売り上げており、前年と比べ26.9%増加している。

 アリババのEC取引は、もちろん中国本土が中心顧客であるが、今年は東南アジアなど海外の顧客からのアクセスも増加しており、もちろんそこにはアメリカも含まれている。Adobe Systemsによれば、11月11日のアメリカ消費者のEC取引額は18.2億ドルで、前年同日比で29.1%も増加している。アリババのECサイトを通じた消費によってかさ上げされていることは明白だろう。

 アリババはニューヨーク上場企業であり、アメリカでも知名度は高い。中国からの輸入が更に増えてしまう可能性や、アマゾンの牙城が今後、脅かされるリスクさえ感じさせる。

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