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母が若年性認知症に… 診断の10年前から出ていた“思い当たる兆候”

 独身で実家暮らしだったハナさんは、ユリコさんが若年性認知症とわかったとき、自分が主となって介護することを決意。5年ほど頑張ってきた芸人としての活動を辞めた。言わば「介護離職」だ。弟がいるが、すでに結婚して地方に住んでおり、アテにしていなかった。会社員の父も、妻が認知症になったということを受け入れたくないのか、無関心なのか、“見て見ぬフリ”をしているようで、あまり期待できなかった。

 ユリコさんは元来几帳面な性格で、整理整頓を好み、何事もきっちりさせないと気が済まない完璧主義者だった。そんなユリコさんの異変をハナさんが感じ始めたのは、実に診断される10年ほど前からのことだ。

「若年性認知症は、その年齢から“まさか”という思いが先立ち、気づきにくい。認めたくないという思いもありました。でも、今思えば、そのずっと前からゆるやかに発症が始まっていたのでしょう」(ハナさん)

 最初に「あれ?」と思ったのは、整理好きなユリコさんが「引っ越しの荷物をなかなか片付けないこと」だった。

 当時の様子をハナさんはこう振り返る。

「出したものはすぐ片付けるなど、いつもキチンとしていて、整理整頓しないと怒る人なのに、引っ越しの時のダンボールは開けずに、ずっと放置していたんです。数年たって私が片付けましたが、それもぼんやり見ているだけでした。さらに、掃除用具をたくさん買い込んでくるのに、使わないまま。どうしたのかなとは思いつつ、当時はそれほど気に留めていませんでした。

 でも、認知症と診断されてから振り返ると、このような“計画力や意欲の低下”、“整理整頓・掃除しなくなる”、“同じものを大量に買う”といったことは、認知症の症状に当てはまっていたんです」

 その時のハナさんは、この後に壮絶な介護生活が待っていることなど、知る由もなかった。(続く)

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