保険治療で医療費の自己負担額が一定限度を超えた場合、超えた金額が支給される高額療養費制度によってがん患者の経済的負担は減るが、それでも想定より膨らんでしまう場合が少なくない。知らずにいると「自己負担額がかさんでしまう」ケースがあるからだ。
胃がん、肺がん、大腸がんなどの標準治療のうち、「手術」プラス術後検査費の場合に比べ、「抗がん剤(薬物)」などの化学療法を行なう場合では、自己負担額が増える傾向にある。抗がん剤に詳しい筑波記念病院・つくば血液病センター代表の小松恒彦医師が指摘する。
「根治を目指す治療は抗がん剤だけで行なうケースは少なく、手術後の再発予防として投与することが多い。抗がん剤治療は、がんの部位やステージ、進行度などによって様々な種類があり、なかには比較的高額な薬もある。
一部の肺がん患者に効果のあるイレッサは、30日間投与して自己負担が6万円で、治療が半年になると診察代などを合わせて60万円以上の負担になります。胃がんのステージIIで処方されることが多いテガフールは年間28万円の自己負担になります」