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2019年、消費増税がなくとも日本の景気が落ち込むこれだけの悪材料

2019年の日本経済の視界は?

 2019年10月に予定される消費税率の引き上げについて、経済アナリストの森永卓郎氏は「まず2019年7月の参院選をにらんだ政治的理由から、消費増税は凍結の可能性が高いのではないか」と分析している。だが、森永氏が増税凍結を予想する理由はそれだけではない。2019年の日本経済が直面する状況からも、増税は不可能ではないかと見ている。以下、森永氏が解説する。

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 2019年は経済的に見ても、10月から消費税率を上げられる状況ではなくなると、私は考えている。

 その理由として、まず挙げられるのは景気循環だ。景気循環は、生産と在庫の関係を指標とするキチンサイクル、設備投資を指標とするジュグラーサイクル、住宅建築投資を指標とするクズネッツサイクル、技術革新を指標とするコンドラチェフサイクルという4つのサイクルの複合循環で、それぞれの周期は、キチンが5年、ジュグラーが10年、クズネッツは20年、コンドラチェフは50年といわれる。

 そのうち、周期10年のジュグラーサイクルは2018年にピークアウトした。周期5年のキチンサイクルも2019年にピークアウトする。短い周期の指標がより支配力が大きいので、2019年は景気循環上、景気が落ち込む年になるのだ。

 また2019年は、2020年に向けてのオリンピック特需が終焉を迎える。過去を振り返ると、オリンピック開催による建設などの特需は、開催の前年にはピークアウトしている。オリンピック開催の半年前くらいには、施設やインフラの整備を済ませないといけないからだ。それも景気の足を引っ張る可能性が高い。

 さらに、海外に目を向ければ、米国のトランプ大統領を要因とする景気減速もあり得る。すでに、米中貿易戦争をはじめ民主党やFRB(米連邦準備制度理事会)との軋轢などで景気減速は進んでいるが、2019年はさらに酷い状況となるのではないか。

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