田代尚機のチャイナ・リサーチ

アメリカへの留学生の3分の1を占める中国人の存在感

アメリカの大学への中国人留学生は増加の一途(イメージ。写真:アフロ)

 アメリカ国際教育研究所の発表したデータによれば、2017~2018年学期において、アメリカの高等教育(colleges and universities)で学ぶ留学生の数は109万4792人であった。この内、中国大陸からやってきた留学生は36万3341人で国別トップ、群を抜いて多く、留学生全体の33.2%を占める。

 第2位はインドで19万6271人、全体の17.9%を占める。第3位は韓国で5万4555人、全体の5.0%を占める。以下、国名とシェアだけを示すと、サウジアラビアが4.1%、カナダが2.4%、ベトナムが2.2%、台湾が2.1%と続く。日本はその次の第8位で1万8753人、全体の1.7%に過ぎない。

 ちなみに、中国からの留学生数は2009~2010年学期から9期連続でトップとなっている。直近では3.6%増と低い伸び率となっているものの、2008~2009年学期から5期連続で20%以上増加している。この10年間、中国からの留学生はアメリカの大学にとって最大の顧客であり、最も身近な外国人である。

 アメリカの大学の学費は世界でも最高額レベルであり、生活費も決して安くない。日本人の中にも、アメリカに留学し、高度な教育を受けたいと希望する人は多いはずだ。幼児教育を含め、国内における英語学習熱は相当なもので、そのことからも、アメリカ留学の潜在的な需要が大きいことはわかる。

 しかし、アメリカ留学は英語学校に通うのとはわけが違う。コストが違いすぎる。アメリカの有名私立大学であれば、4年間にかかる費用は1500万~3000万円といわれている。大学院の場合、さらに授業料が高いため、年間コストはもう一段アップする。日本では経済的な余裕がなく、断念する人も少なくないだろう。

 中国では、かつては国費留学生が多かった時代もあったが、それは十数年以上も前の話である。現在の学生は、ほとんどが自費留学である。中国には、高いコストを負担できるだけの裕福な家庭が多数存在するということだ。

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