投資

個人向け社債の販売好調 今後の資産運用の有力な選択肢に

日銀が導入したマイナス金利政策によって、長短の金利差はいちだんと縮小し、個人の資産運用の選択肢は狭められているが、その反面、活況を呈している金融商品もある。個人向け社債だ。2016年度に入って、個人向け社債の発行が活発となり、この4月だけでも、すでに以下の起債が決定している(4月17日時点。一部販売終了のものもあり)。

・SBIホールディングス…償還期間約2年/利率0.75%/格付けBBB
・東海東京フィナンシャルホールディングス…償還期間3年/利率0.32%/格付けBBB+
・大和証券グループ本社…償還期間7年/利率0.40%/格付けA+
・クレディセゾン…償還期間5年/利率0.30%/格付けA+
・近鉄グループホールディングス…償還期間約5年/利率0.30%/格付けBBB

そもそも、社債とは、企業が資金調達のために発行する債券のこと。それを一般の個人が購入できるように設計し、販売するものを個人向け社債という。償還期間と利率があらかじめ決められており、会社が倒産しなければ、満期時に元本が戻ってくる。基本的に、償還期間が長くなればなるほど、利率は高めに設定される。

上記の5本の中では、SBIホールディングスの社債の利率が抜きん出ているが、SBI証券に口座を開設し、メルマガを登録していないと購入ができない(しかも購入は抽選方式)。SBI証券の口座獲得のための商品、という要素があると考えられる。

SBIホールディングス以外では、償還期間、利率といった条件を考慮すると、東海東京フィナンシャルホールディングスが注目に値する。他の社債は、償還期間が長すぎるからだ。

とはいうものの、他の3本もいずれも販売は好調となっている模様。現在の低金利下で、現金の置き場に困っている個人投資家が多いことが伺われる。

購入にあたっては条件の検討が必要となるが、まとまった資金での運用が可能だけに、発行する企業が増えれば、今後は資産運用の有力な選択肢として定着していく可能性があるだろう。

なお、社債の販売は証券会社が行なっている。社債によって販売窓口となる証券会社が異なるため、複数の証券会社に口座を開設し、普段から発行情報をチェックしておきたい。販売が好調となっているためか、証券会社も積極的にアピールしていないのが実情だ。

文/松岡賢治(ファイナンシャルプランナー・ライター)

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