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配偶者からDV受けた女性が離別後も貧困から抜け出せないワケ

女性の場合、離死別を経てアンダークラスに流入する人も多いという

女性の場合、離死別を経てアンダークラスに流入する人も多いという

 かつては『一億総中流社会』といわれながら、いつしか社会に「格差」が生まれ、広がりつつある日本。昭和までの日本社会は、『資本家階級』、『中間階級』、『労働者階級』の3つに分かれると考えられてきた。しかし近年は、労働者階級の内部に巨大な裂け目ができ、極端に生活水準の低い非正規労働者の新しい下層階級=『アンダークラス』が誕生している。

 非正規労働者のうち、家計を補助するために働くパート主婦、非常勤の役員や管理職などを除いた人たちを「アンダークラス」と呼ぶ。『アンダークラス』(ちくま新書)の著者で、社会学者の橋本健二さん(早稲田大学人間科学学術院教授)が語る。

「アンダークラスの数はおよそ930万人に上り、就業人口の14.9%を占め、社会の一大勢力になりつつあります。平均年収は186万円で、貧困率は38.7%と高く、特に女性の貧困率はほぼ50%に達しています」

 アンダークラスの女性はどんな生活を送っているのか。離婚して貧困を余儀なくされている埼玉県在住の36才・シングルマザーの吉田惠さん(仮名)の話。

「母はできちゃった結婚で私を産み、父は定職には就いていなかった。家計を助けるために母はパートに出ていて、貧しい家で育ちました。私が物心ついた頃には父から虐待を受け、地元の高校を卒業後は大学へ行かず、すぐに実家を離れて働き始めました」

 これでは安定した会社に就職できるわけもなく、これまでずっと非正規労働。今も派遣社員として働いている。

「そんな家庭で育ったからか、私も20才の時にできちゃった結婚をして。でも3年後には離婚してシングルマザーになりました。今の月々の手取りは14万円程度。息子も高校生になり、私立の学校に通うことになって、生活が苦しくて…消費者金融で借金もしています。派遣で収入が少ないのに子供の養育費、借金の返済とその日暮らしの生活しかできません」

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