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オンライン授業をしないで休校続ける学校に授業料を払う必要はあるか

オンライン授業の対策をしない学校側に非はあるか(イメージ)

オンライン授業の対策をしない学校側に非はあるか(イメージ)

 新型コロナウイルス騒動は、生徒と教師との密集が避けられない教育機関にも大きな影響を与えている。授業や講義が行えない状況を補う手段として注目されているのがオンライン授業だが、休校を続けたままオンライン授業などを提供しない学校に、授業料を払う必要はあるのか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 娘は専門学校に通っているのですが、この情勢下のせいで休校続き。私も収入が落ち、来期の授業料を払えない心配もあり、学校側に相談すると、払ってくださいの一点張り。そう主張する学校側はオンライン授業の対策もせず、学生たちをほったらかし。そんな学校でも、授業料を払わなければいけませんか。

【回答】
 専門学校と娘さんとの間には、有償で教育サービスを提供する役務提供契約が成立しています。学校は契約に従い、生徒に受講の機会を与える義務があり、授業料はその対価です。学校側がオンライン授業などの代替方法を講じていないとなると、この契約上の義務の不履行になります。

 コロナ感染防止のための休校要請には強制力がなくても、学校が要請に従って授業を止めたことは非難できません。誰の所為でもない事情で契約上の義務の履行ができなくなった場合、民法では「当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は反対給付の履行を拒むことができる」と定めています。

 コロナ対策で授業ができないのは「当事者双方の責めに帰することができない事由」です。この結果、学校は授業をできず、受講の機会の提供という「債務を履行することができなくなったとき」になります。学生は学校が負っている契約上の債務の債権者ですから、「債権者は反対給付の履行を拒むことが」できます。「反対給付」とは授業料のこと。つまり、授業を行なわないのなら、授業料の支払いを拒めるという原則です。その原則に則り、休校明けに後れを取り戻す授業が始まってから、支払うことでもよいと思います。

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