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もしも日産社長が本田宗一郎氏だったら… ゴーン氏と何が違ったか

ドイツでホンダのスポーツカーを紹介する本田宗一郎氏(1963年。dpa/時事)

ドイツでホンダのスポーツカーを紹介する本田宗一郎氏(1963年。dpa/時事)

 こういう組織だからこそ、もし本田宗一郎氏が再建のために乗り込んでいったら、社員は本田氏の下にまとまる。そこで本田氏が何をするかといえば、商品開発である。もっと面白い自動車、もっと皆が喜ぶ自動車の開発をするはずである。根っからのエンジニアで、ホンダの社長を務めていたときも、本社の社長室にはおらず、常に工場や開発現場にいた。日産の立て直しに入った場合でも、真っ先に工場や開発現場に行くに違いない。

 今の日産の問題点は、商品力の低さである。ゴーン氏の経営下では利益の拡大が重要視されたため、新規投資が疎かになり、日産は2年半の間、従来車のマイナーチェンジのみでニューモデルを出さなかった。日本の自動車メーカーとしては由々しき事態である。

 だからこそ、本田氏が新車開発にゴーを出し、開発現場に顔を出し続ければ、社員も鼓舞されておのずと面白い自動車が生まれてくる。そうして商品力を整えた日産が復活するというわけだ。

 今まで上司の目を気にして働いたり、与えられた目標数値だけを見ていたりした社員も、本田氏の背中を見て仕事をするようになれば、日産の官僚体質も解消されていくだろう。日産というメーカーが本来持っているモノづくりの力を取り戻すことができるはずだ。

※週刊ポスト2020年8月14・21日号

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