田代尚機のチャイナ・リサーチ

バフェット氏はなぜ今、中国株ではなく日本株を買うのか

ウォーレン・バフェット氏の投資行動の変化が波紋を呼んでいる(AFP=時事)

 米著名投資家、ウォーレン・バフェット氏の投資行動の変化が市場の注目を集めている。ひとつは、金(ゴールド)価格が急騰したこの時点で金鉱株に投資を始めたこと、もうひとつは、海外投資では過去に大きな成功を収めている中国株投資ではなく、日本株に投資したことである。

 金鉱株投資についてだが、バフェット氏がCEOを務める投資会社バークシャー・ハサウェイは8月14日、SEC(米国証券取引委員会)に資料を提出している。それによれば、6月末時点における運用銘柄の動き(四半期ベース)は以下の通りであった。

 アップル、BOA、コカ・コーラ、アメリカンエクスプレス、クラフトハインツ、ムーディーズ、ダビータヘルスケアパートナーズなどについては変動なし、JPモルガン、ウエルズ・ファーゴ銀行、ニューヨーク銀行、マスターカード、VISA、PNC銀行などは持ち株を減らし、ゴールドマンサックス、オクシデンタル・ペトロリウム、アメリカ4大航空については全株売却した。

 そのほか、リバティ・メディア、ストア・キャピタル、サンコアエナジー、クローガーなど4銘柄を買い増しているが、新規に買い入れたのは1社だけ。それが、カナダの金鉱会社であるバリック・ゴールドである。6月末時点での評価額は5億6355万ドル(約597億円相当、1ドル=106円で計算)に及ぶ。

「金は生産力のない資産である。金投資では配当もなければ、利子収入もない。金価格は投機家の投機行動によって上昇する。金投資の収益率は他の生産力のある資産への投資と比べると、大きく劣っている」──バフェット氏は、これまで幾度となく、金への投資を否定するような発言を繰り返してきた。それだけに、市場関係者の驚きは大きかった。

 そもそも、金投資は期待収益の低い資産といった見方自体が間違っていたのかもしれない。金価格(NY金先物)はここ1年で急騰しており、足元では2011年9月の高値を超えている。2011年9月に天井を付ける前の10年程度の間にも、大きな上昇トレンドが出ている。下落トレンドが出たこともあったが、20年程度のスパンでみれば、金投資の収益率は他の金融商品取引などと比べ決して低くない。

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