ライフ

拾った隕石を博物館に渡さずに自分のものにしたい、法的に問題は?

宇宙から降ってきた隕石の所有者は誰になる?(イメージ)

宇宙から降ってきた隕石の所有者は誰になる?(イメージ)

 燃え尽きず落ちてくる隕石「火球」が全国各地で目撃されSNSでも話題となったが、こうした隕石を拾った場合、法律上「誰のもの」となるのだろうか。弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 先日、千葉県習志野市に火球が落ち、隕石が発見されました。その隕石は博物館の要請を受けて引き渡すことに。でも、隕石は本物と認定されれば、高額で売買されることも。となると、私が隕石を拾った場合、博物館が引き渡しの依頼をしてきても拒否できますか。それとも渡さないと罰せられますか。

【回答】
 隕石は宇宙から降ってくるもので、誰の物でもありません。所有者がいない物・動産です。民法では「所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する」と定められています(無主物先占の原則)。所有の意思をもってですから、自分の物にしようと事実上の支配下に置ければ、所有者になれます。

 つまり、早い者勝ち。一番先に隕石を見つけることができれば、自分の物にすることができます。

 しかし、隕石を見つけるため、他人の家の庭に無断で入ると、正当な理由による立ち入りではないので邸宅侵入に、田んぼや畑でも、軽犯罪法違反に問われる可能性があります。

 しかも、学術的価値の高い隕石を、無主物先占で所有権を得た私人が自由に処分したり、所有したままで研究させないのは社会的損失です。文化財保護法は、地質鉱物で我が国にとって学術上価値の高いものを文化財の一つである記念物に含めています。隕石も貴重な岩石、鉱物の標本として、これに含まれる場合があります。

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。