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接待問題の山田前広報官 処罰を免れ、退職金5000万円は満額支給

官民格差はコロナ禍でも健在か…(写真は山田真貴子・前内閣広報官/時事通信フォト)

官民格差はコロナ禍でも健在か…(写真は山田真貴子・前内閣広報官/時事通信フォト)

「飲み会は断わらない」と“接待上等”を豪語していた山田真貴子・前内閣広報官が病気を理由に辞任した。官邸は後任に小野日子(ひかりこ)・外務副報道官を起用し、“山田隠し”を急いでいるが、国民が怒っているのは彼女に対する“罪と罰”のアンバランスに「上級国民」である官僚の特権、官民格差を感じ取っているからだ。

 山田氏は総務省ナンバー2の総務審議官当時、「菅さま」と呼ぶ菅首相の長男・正剛氏ら東北新社幹部から7万円あまりのステーキ接待を受け、あまつさえNTTからも接待されていたことが週刊文春に報じられている。

 この東北新社からの接待問題で総務省は、情報流通行政局幹部ら11人を国家公務員倫理法(規程)違反で処分した。山田氏も本来なら処分対象のはずだが、同氏はすでに総務官僚ではないのがポイントとなる。昨年9月に「事務次官級」のポストである特別職の内閣広報官に就任する前、総務省を退官(昨年7月)していたことから、「役所を退職した者を処分できない」という理由で罰を免れた。

 民間企業であれば、不祥事で懲戒免職になった社員は退職金が減額されることが多い。もし、民間サラリーマンが不祥事で退職に追い込まれるとどうなるか。人事コンサルタントで社会保険労務士の内海正人氏が語る。

「民間企業は、本人の申し出で退職する場合でも、懲戒処分を受ければ退職金の減額を就業規則に盛り込んでいるケースが多い。ましてや、不祥事で名前を報道されたとなると、退職後の再就職が難しくなると考えられます。

 現在のコロナ不況下ではなおさらです。厚労省は解雇や雇い止めが9万人を超えたと発表したが、あれは氷山の一角。職を失って再就職もままならない、住宅ローンが残っているような人だと、自宅を手離さなくてはならない状況に追い込まれることなどが考えられます。老後の人生設計を再構築せざるを得ないでしょう」

 一方の山田氏は前述の通り昨年7月に総務省を退官している。次官級の退職金は約5000万円にのぼる。接待問題が発覚すると、内閣広報官の月給の6割に相当する70万5000円を自主返納し、金銭的ペナルティを受けたように見えるが、これは見せかけだ。

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