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日本で女性議員を増やす秘策 稲田朋美氏が語る「クオータ制」への期待と障壁

稲田朋美議員は女性の政治参画状況に危機感を抱いている(撮影/平野哲郎)

稲田朋美議員は女性の政治参画状況に危機感を抱いている(撮影/平野哲郎)

 一向に進まない男女共同参画。2014年の第二次安倍改造内閣では、変化の兆しはあった。女性活躍を掲げた安倍晋三前首相(66才)は、歴代最多となる5人の女性閣僚を起用したほか、党の政調会長や総務会長にも女性を抜擢した。

 だが、その流れが継続されることはなかった。“政権を奪われる”という危機感が減ったことも影響してか、現状の菅内閣の女性閣僚はわずか2人で、副大臣は25人中3人。若手政治家の登竜門である政務官も女性は27人中3人しかいない。そこに“女性活躍が重要”というメッセージは伝わってこない。

 過去には“変えることを頑なに認めなかった”例もある。2017年11月、熊本市議会で、緒方夕佳市議(45才)が生後7か月の長男を連れて、議席に座った一件だ。

 緒方議員は、事前に長男を連れての議会出席を許可するか、託児所を設置してほしいと議会事務局に何度も訴えたが、聞き入れてもらえず、女性が子育てと仕事を両立する難しさを見せるために強硬手段に打って出たとされる。

 このときは議長らと押し問答になり、緒方議員は“同伴出席”を断念したが、ニュースが報じられると大きな議論が巻き起こり、子育て中の女性でも議員として活躍できるよう、変わっていく機運が高まったかに思えた。

 しかし翌年3月、熊本市議会は、会議中は乳児を連れての出席を認めないというルールを改めて定めた。声が上がったにもかかわらず、それを潰した熊本市議会。自ら“女性活躍から一歩後退”するという、時代錯誤の決断だった。

 自民党の稲田朋美議員(62才)ら「女性議員飛躍の会」は、女性政治家を増やすために、国政や都道府県、市町村それぞれの選挙において女性議員の比率を30%にすべきとの意見を表明している。自民党はどう取り組むのか。自民党広報本部の三宅伸吾参院議員(59才)が語る。

「昨年12月、二階幹事長と山口泰明選挙対策委員長から通知文があり、国政や都道府県、市町村それぞれの選挙において、女性議員を1人は確保しようとの目標が書かれていました。また、女性局の女性向け政治塾のなかにある候補者育成コースを重点的に活用し、女性候補者の発掘を進めようとの見解もありました。いまも女性議員がゼロの地方があるので、まずは現実的に1人ずつ増やしていこうという考えだと思います」

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