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大学で「対面授業再開」が進む一方で学生・教員たちが直面する「新たな混乱」

対面授業の再開で、学生・教員たちが戸惑う理由とは?(Getty Images)

対面授業の再開で、学生・教員たちが戸惑う理由とは?(Getty Images)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、昨年度は多くの大学が全面的なオンライン授業へと移行したが、4月から始まる今年度の講義は対面形式を再開させる大学も増えている。上智大学、早稲田大学、関西大学など「原則対面」を表明する大学も多く、その他の大学でも演習科目などを中心に対面の割合を増やす「対面・遠隔のハイブリッド型」に移行した大学が目立つ。

 もちろん、各大学で最大限の感染対策を講じたうえでの措置であり、慣れないオンライン授業に疲弊し、対面講義を待ち望んでいた学生にとっては、歓迎すべきことかもしれない。だが、現役大学生へ聞き取り取材を行なったところ、対面と遠隔の組み合わせにより「混乱が増す」という声も少なくなかった。

 神奈川県から都内の私立大学に通うAさん(文学部・2年生)は、このように語る。

「昨年度は、入学してから一度しかキャンパスに行きませんでした。その間は1年間、ずっと自宅でオンライン授業を受けていましたね。実家に良いノートパソコンが無く困っていましたが、いとこから、お下がりのMac Book Proをもらえたことで、どうにか1年乗り切ることができました。

 そうやってようやくオンラインに慣れてきたところ、4月からは、ほぼ対面になると大学から連絡がありました。現在、履修登録期間なのですが、ちょっと困ったことが起こっています。

 ある曜日の1限が大人数科目のためZoomによるリアルタイムのオンライン授業に。しかし、2限は英語の演習で対面、3限は学部の必修科目でオンライン授業です。神奈川の実家から大学まで、片道1時間半以上かかるため、1限を家で受講していると、2限の対面に絶対に間に合わない。

 大学の事務に問い合わせたところ、『ノートPCを持参して、1限を大学のPCルームや自習室を使って受講すればよい』と言われました。ただ、同じ理由で1限からキャンパスに来て自分のPCで受講する人が多数いるはずで、全員がそこで受講可能なのか不安です。そもそも、ほとんど大学に行ったことがないので、構内のWi-Fi環境やコンセントが利用できるのかといった点も分からない。

 また、90分の1コマ授業だけのために通学するとなると、往復の通学時間だけでなく交通費もかさみます。大学側には、対面の日と遠隔の日を曜日ごとに分けてもらえるとありがたかったのですが……」(Aさん)

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