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大学で「対面授業再開」が進む一方で学生・教員たちが直面する「新たな混乱」

大学教員は「昨年度より業務量が激増」

 対面講義の再開によってゼミの運営がままならないと語る学生もいる。大阪の私立大学に通うBさん(情報系学部・4年生)は、自身が所属するゼミの状況について、このように語る。

「うちのゼミでは積極的に課外活動をしたり他大学のゼミと連携した活動がしたいというメンバーと、『遠隔で実施してほしい、複数のゼミ生と会話をしたり、共同作業することが不安』というメンバーがいて、意見が真っ二つに割れている状況です。

 ゼミのメンバーのなかには、普段からカラオケ飲み会などをしたり、梅田周辺で就活仲間と合コンしたりしている人もいる。一方で混み合う電車通学に不安を感じて、学校に来ること自体に疑問を感じているメンバーもいます。意識の差がありすぎることで、ゼミ生の不満の声も高まっています」(Bさん)

 混乱しているのは学生だけではない。大学教員の中からは、講義科目が対面に移行することで、「昨年度よりも業務量が激増している」と嘆く声も聞こえる。いったいどういうことか、東京の私立大学に勤務する教員・Cさん(40代)は、こう説明する。

「対面再開とはいえ、従来のキャンパスライフに戻れるわけではありません。講義科目が対面になっても、基礎疾患がある学生や遠方から通学する学生の中からは、『昨年度と同様、オンラインで受講したい』というニーズが出ており、それを完全に無視することはできない。こうした学生をサポートするために、対面授業を教室の後方から動画で撮影し、その映像資料をポータルにアップロードする大学もあります。

 とはいえ1コマ90分間の講義を動画撮影することは大きな手間で、機材も必要になります。教員は複数のコマを担当しているので、その分、業務量が増えるということです」(Cさん)

 昨年度は初めてのオンライン対応に迫られ、新たな取り組みに四苦八苦していた学生と教員たち。依然として感染拡大が続く中で対面授業の解禁が進むことで、昨年度とは別の混乱も生じ始めているようだ。

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