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雇用保険の「コロナ負担増」に克つ 65歳以上限定の新特例を解説

雇用保険の新特例を満たすための要件は?(イメージ)

雇用保険の新特例を満たすための要件は?(イメージ)

 2022年度は、会社員などの給料から天引きされる「雇用保険料」の負担が引き上げられる見通しだ。社会保険労務士の北村庄吾氏が解説する。

「雇用保険料は失業給付などの財源となるもので、コロナ前の雇用保険財政は潤っていました。それがコロナ不況で失業者が増え、さらに事業者が雇用を維持するための休業手当を助成する『雇用調整助成金』の支給が急増。現在の保険料率は賃金総額の0.9%(労使の負担合計)と大きくありませんが、雇用保険の積立金はほぼ底をつき、働き手の給与からの天引きが増える可能性が高い」

 それだけに、これまで以上に雇用保険のフル活用を考えたい。2022年1月からは65歳以上の働く人にプラスとなり得る制度がスタートする。

「報道も少なくてあまり周知されていませんが、65歳以上の人が対象の『雇用保険マルチジョブホルダー制度』が始まります。従来の雇用保険は、『主たる事業所で1週間の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用見込み等』の要件を満たす場合に適用されていましたが、新制度では複数の事業所で勤務(週5時間以上)する65歳以上の人は、そのうち2つの事業所での勤務を合計して要件を満たす場合、特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となれるのです」(同前)

 フルタイムの仕事を退職して、時間に余裕があるからアルバイトを複数掛け持ちしているような人が、これまでは入れなかった雇用保険に加入できる仕組みなのだ。

「仕事を辞めた時の失業給付(高年齢求職者給付金)は離職前に受け取っていた賃金によって変わりますが、被保険者であれば10万~20万円といった額が受け取れるのに、制度を知らなければそれがゼロになってしまいます。勤め先の企業は従業員が別のところでも働いて労働時間が週20時間以上に達しているかなんて把握していませんから、該当する場合は本人がハローワークに申し出を行なう必要があります」(同前)

 申し出る場合、事業主に必要書類への記入を依頼し、ハローワークに提出することになる。該当するか、必ず確認したい。

※週刊ポスト2022年1月1・7日号

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