家計

ネットで詐欺被害、カードで払ったお金は帰ってくるのか 弁護士が解説

詐欺と気づいた時には連絡がとれなくなっていて…(イラスト/大野文彰)

詐欺と気づいた時には連絡がとれなくなっていて…(イラスト/大野文彰)

 様々な詐欺が横行しているインターネットの世界。もしも騙されてクレジットカードでお金を支払った場合、そのお金が帰ってくることはあるのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。

【相談】
 息子が詐欺の被害にあいました。インターネットで「メールでやり取りするだけの簡単なバイト」という募集を見つけ、申し込んだところ、報酬を支払うために有料の手続きが必要と言われ何度も料金を請求され、合計10万円近くをクレジットカードで支払いました。その後、「登録をやめるので返金してほしい」と連絡しましたが、連絡がとれなくなりました。やり取りはすべてメールで行っていましたが、お金を返してもらうことはできますか。(和歌山県・50才・女性)

【回答】
 息子さんは、料金を支払ってアルバイト先紹介サービスの提供を受ける取引を、インターネットを使ってしたことになるので、通信販売として特定商取引法が適用されます。そのため相手業者は、ホームページなどに契約の条件のほか、業者の住所、氏名、代表者や責任者の名前などを表示する義務があります。

 しかし、おそらくそうした表示はなかったと思います。ツイッター上の中傷などインターネットに発信される情報による被害が、「情報の流通により他人の権利が侵害されたとき」に当たれば、プロバイダ責任制限法に基づき、発信者情報の開示を求めることができますが、ご質問の場合は該当しないのでこの方法は使えず、業者の特定は困難です。どこの誰だかわからなくては騙した相手から回収を図ることはできません。

 ところで、息子さんは料金をクレジット決済しています。割賦販売法は、クレジットカードを使った購入では、購入者が販売業者に対して言える反論(抗弁)をクレジット会社に対しても主張できるという制度(「抗弁の接続」)を設けています。

 抗弁の接続があると、業者に立替払いをしたクレジット会社からの立替金の請求に対して、返品や契約違反による解除あるいは詐欺を理由に支払いを拒むことができます。

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