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【日本株週間見通し】日経平均はもみ合いか 本格的な復調はまだ先の可能性も

 一方、FOMC通過後の日米株式市場は大幅に反発したが、先物やオプション取引における売り方の買い戻しが主体の様相で、相場が本格的な復調に入ったとの声は少ない。バンク・オブ・アメリカ(BofA)の月次ファンドマネジャー調査によると、現金比率が約2年ぶりの高水準となる一方、株式の比率は約2年ぶりの水準に低下したという。また、スタグフレーション(物価高と景気後退の併存)を予想する割合は62%と前回2月調査の30%から大幅に上昇し、2008年9月以来の高水準となった。

 金融政策の動向やウクライナ情勢も依然油断はできない。FRBは景気に対して緩和的でも引き締め的でもない中立金利の水準を2.5%から2.4%へと引き下げた。そうしたなか、FRBは2023年末まで計10-11回の利上げを行い、23年末の政策金利を2.75%までに引き上げる方針だ。中立金利を上回る水準にまで政策金利を引き上げるということは、景気を冷ましてでもインフレ抑制を優先するということ。米債券市場で景気後退入りのサインとされる2年債と10年債の逆イールドが近づくなか、今回見せたFRBの政策スタンスは一段とスタグフレーションリスクを高めるものだったといえる。

 逆イールドが発生しても実際に景気後退入りするのには1年前後のタイムラグがあることから、目先の相場への影響は限られる。また、名目ベースでなく、実質ベースの長短金利差の方が正確な物差しで、これで見れば逆イールドの発生確率は低いと指摘する向きもいる。しかし、名目ベースでも実際に逆イールドが発生すれば投資家心理は悪化し、買いの手が鈍ることが予想されよう。

 停戦期待が高まってきているウクライナ情勢についても不透明感がくすぶる。ウクライナ側から停戦合意に向けた進展があったと伝わったかと思えば、その矢先にロシア側から進展したとの報道は誤りであると表明があるなど、未だに先行きが見通せない。ウクライナの激しい抵抗により想定外に戦闘が長期化していることで、苦しい立場に追い込まれつつあるロシアが、戦術核など核兵器で威嚇する可能性なども指摘されている。さらに、動向が注目される中国は、仲裁どころか、欧米諸国の対ロシア制裁の影響を和らげる方法を探るなど、ロシアに近づいているなどとも指摘されている。米国は、中国がロシアを支持するならば「代償」支払わせると通告しており、米中摩擦激化への懸念もくすぶる。仮に中国にも経済制裁を科すとなると、世界経済への打撃は計り知れない。

 需給的な支えに期待しつつも、なお、本格復調は遠いと認識しておきたい。

 今週は23日に米2月新築住宅販売、24日に日銀金融政策決定会合議事要旨(1月17-18日開催分)、欧州連合(EU)首脳会議(25日まで)、北大西洋条約機構(NATO)緊急首脳会議、米10-12月期経常収支、米2月耐久財受注などが予定されている。

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