田代尚機のチャイナ・リサーチ

中国が入国時隔離措置撤廃で海外旅行需要急回復へ 日本のインバウンド消費にも好材料

入国制限緩和で混雑する成田空港(10月撮影。時事通信フォト)

入国制限緩和で混雑する成田空港(10月撮影。時事通信フォト)

 日本は今、海外からの観光客が急増している。日本政府観光局が発表した11月の訪日外国人観光客数は93万4500人で、コロナ禍が始まる前の2019年11月と比べれば6割減だが、昨年11月(2万682人)と比べれば大幅増となった。

 直近3か月の状況をみると、9月は20万6641人、10月は49万8600人なので、11月の回復ぶりは顕著である。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止を目的に外国人観光客の受入れを停止していた政府だが6月に受け入れを再開。9月には1日の入国者総数の上限を撤廃、10月には個人観光客の受入れを再開、これらの規制緩和が効果が現した。

 もっとも、国別の状況をみると、11月の韓国からの観光客数は31万5400人で、3年前の11月と比べ53.8%増と大きく伸びているが、中国、台湾、香港、タイ、米国といったかつて訪日観光客の多かった国々では、依然としてマイナスのままだ。特に3年前には全体の3割程度を占めた中国本土からの観光客は、わずか2万1000人に留まっている。

 中国では新型コロナウイルスの感染拡大が報じられており、日本政府も12月30日から、中国からの渡航者全員に対して入国時検査を実施する予定だ。それでも期待されるインバウンド消費の本格的な回復には中国観光客の復活が欠かせない。

 中国国家衛生健康管理委員会は12月26日、新型コロナウイルス感染症の伝染病防治法上の扱いを来年1月8日より一段引き下げると発表した。これにより、渡航の際の大きな障害となっていた入国時の隔離が撤廃される見通しとなった。

 中国の法律上、伝染病は甲類(ペスト、コレラの2種類)、乙類(SARS、エイズ、狂犬病、百日咳、肺結核など27種類)、丙類(インフルエンザ、風疹など11種類)の3種に分類される。新型コロナウイルス感染症は、乙類ながらこれまでは甲類と同様に管理されてきたが、今回の決定により他の乙類と同様の管理へと改められることになった。

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