閉じる ×
マネー

確定申告は自営業者だけのものではない 会社員・年金生活者でも税金を取り戻せる

確定申告でしっかりお金を取り戻したい

確定申告でしっかりお金を取り戻したい

 政府は防衛費増額や“異次元の少子化対策”とセットで増税を押しつける姿勢が鮮明だ。物価高で家計が逼迫するなかでは、「お上から取り戻せるカネ」をもらい損ねないことが重要になる。

 最大のチャンスとなるのが2月16日から始まる「確定申告」だ。確定申告は“自営業者・個人事業主がやるもの”というイメージが根強くある。会社員は年末調整があるし、年金生活者も「公的年金400万円以下なら不要」という情報が周知されている。しかし、それが全員に当てはまるとは限らない。

『年金生活者・定年退職者のための確定申告』の監修者である山本宏・税理士はこう言う。

「給与や年金から税金が源泉徴収(天引き)されている人は、そこに本来使えるはずの『控除』が反映されていない場合、本来納めるべき額よりも多く税金を支払っていることになる。自ら税務署に控除が受けられると申告し、還付を受ける機会となるのが確定申告です。会社員や年金生活者でも、税金を取り戻せるケースは多くあります」

翌年の住民税も安くなる

 たとえば、年金収入240万円の人(単身世帯)で考えてみよう。

「どの健康保険に加入しているかなどで所得は変わりますが、ざっくり年金収入240万円から、公的年金等控除110万円と基礎控除48万円を引き、健康保険料を15万円払ったとすると、所得は67万円。所得税が5%として3万3500円になり、一律10%の住民税が6万7000円になる。様々な控除を使って67万円の所得を圧縮していけば、払った所得税が取り戻せるわけです」(山本氏)

 仮に、前年に大病の手術や入院で医療費自己負担が100万円を超えていたりすれば、「医療費控除」を使うことで所得はゼロに圧縮され、3万3500円がまるまる戻ってくる。

「さらに見逃せないのは、所得控除を申告することで、“翌年の住民税”が安くなることです。所得税は最低税率が5%なので、所得が少ないと確定申告の還付額を“これっぽっち”と思うかもしれませんが、住民税は一律10%の税率のため所得の少ない人にもメリットが大きい。住民税を払わなくてよくなるケースも少なくありません」(山本氏)

 前述した年金収入240万円の例で、仮に様々な控除により所得がゼロにできれば、所得税の還付と翌年の住民税の減額を合わせて“プラス10万円”の節税効果になる。

 会社員の場合も、年末調整では反映されない控除が受けられれば同様の効果がある。多く稼いでいる人ほど、還付が受けられる余地は大きい。

※週刊ポスト2023年2月10・17日号

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。