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おひとりさまの遺産問題 国庫帰属財産とされたくない時の「遺贈」手続きの手順

相続税は2割増しに

 通常の相続と遺贈では税制上のルールが異なる。法定相続人以外への遺贈は、通常の相続で適用される控除などが適用されないケースもあるのだ。

「相続人以外に不動産を遺贈する場合、特定遺贈だと不動産取得税が課されます。また、相続税の2割加算が適用され、相続税の基礎控除3000万円は適用されますが、法定相続人1人あたりに対する600万円の控除は遺贈の場合には適用されません。

 なお、遺贈先が自治体や大学、NPO、財団など法人格のある団体の場合は相続税の対象外となり、非課税になります(法人税を課される場合がある)。遺贈に関する相談では、資産のすべてを遺贈するのではなく、お世話になった自治体や団体などに資産の10%程度を渡したいという人も最近は増えています」

 いずれにせよ、トラブルを避けて遺贈の遂行を確実なものにするには、行政書士や弁護士、司法書士といった専門家、財団などのサポート団体への相談が肝要だ。

「たとえば不仲の法定相続人がいる場合、遺贈によって遺留分の侵害請求を起こされるというトラブルに発展しやすい。また、受遺者が遺贈者よりも先に亡くなっているというケースも考えられます。受遺者が先に死ぬと遺贈は無効になってしまいます。遺言書の作成方法など、遺贈のルールは通常の相続と少し異なります。いずれにしても、早めの準備が重要。まずは専門家に相談してみるといいでしょう」

 高齢のおひとりさまの増加といった社会情勢の変化や、故人の意思に合わせやすいのが遺贈だ。

 最後の社会貢献やお世話になった人へ感謝をかたちにしたいなら、検討するのもひとつの手だ。

※週刊ポスト2023年2月24日号

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