*13:05JST 日本電技 Research Memo(5):旺盛な受注環境が続くなか、業績好調持続へ
■日本電技<1723>の業績動向
4. 2026年3月期の業績見通し
2026年3月期の業績は、受注高41,000百万円(前期比6.3%減)、売上高43,500百万円(同1.0%増)、営業利益9,200百万円(同0.9%増)、経常利益9,400百万円(同1.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,450百万円(同0.6%増)と見込んでいる。旺盛な受注環境が継続するなか、前期に引き続き首都圏の再開発案件や工場など新設工事を中心に大規模案件の完成と出件が予想されるため、高水準となった前期ほどではないが増収を見込んでいる。利益面では、前期に想定を超えて上昇した利益率には届かない前提になっている一方、設計や積算業務の集約化による業務の効率化を進め、営業利益も微増益を確保する予想となった。なお、受注については、残業上限規制の影響が継続すると想定して減少を見込んでいる。
セグメント別では、残業規制の影響から空調計装関連事業の新設工事を強く見ていないが、既設工事の着実な積み上げと産業システム関連事業の回復でカバーする予想になっている。
空調計装関連事業において、新設工事では「中長期的な全社最適」をキーワードに、短期的でなく数年先まで見据えた中長期的な経営資源の有効活用と各地でのエリア戦略をさらに明確にし、事業強化に取り組む。既設工事では、新設工事との連携を強化して継続的に収益を確保できる事業基盤の構築を目指すとともに、サステナビリティ経営に基づく環境ソリューションビジネスの推進を図る。また、中期経営計画に沿って、関係会社や協力会社との体制強化に取り組み、より強固なパートナーシップを築いていく方針だ。さらに、重点施策の1つとして推進する計画のDXについては、各種データやAIを活用した制御性評価などにより生産性を向上し、顧客に対して新たな価値を提供していく考えである。
この結果、受注高は、旺盛な受注環境が継続するなかで前期末の繰越高が過去最高を更新したこと、残業上限規制により施工余力を勘案して選別受注を徹底していること、陰りのある地域も出てきたことなどを背景に、減少(抑制)を予想している。売上高については、新設工事で大規模案件が完成計上されるため増収を予想している。ただし、同社はもともと保守的な予算を組む傾向があるうえ、人員育成が順調に進んで施工余力が増したり、受注時の提案で採算が改善したり、地域的な需給ギャップを全社的に調整できたりする可能性があり、例年のように最終的に業績が上方修正されることも想定しておきたい。
産業システム関連事業においては、プラントエンジニアリング会社向けの営業を強めるなど、システムと工事の一括受注を推進することで事業基盤を強化する。エンドユーザーに対しては、生産管理システムと制御システムのデータ連携などスマート工場領域の提案増加を目指す。また、同社エンジニアリング部門とグループ会社のジュピターアドバンスシステムズが連携し、食品工場を中心に各種生産設備の生産性・品質向上を目指したソリューション技術の開発も行う方針だ。さらに、制御性評価などDXを推進することで生産性を向上し、新たな価値を創出する考えである。こうした戦略を通じて、空調計装関連事業に次ぐ事業として、収益基盤の強化・早期確立を着実に図る。ターゲットは食品工場と医薬品工場で変わらないが、足元では、より複雑な医薬品工場向けが増え、受注案件も大型化していることを考えると、売上高が大きく戻ることも頷ける。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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