自公維3党で合意した医療費改革の実態とは(左から前原誠司・日本維新の会共同代表、石破茂・首相/時事通信フォト)
本誌・週刊ポストが追及してきた年金改悪に加え、石破政権は野党と組んで「医療費改悪」まで推し進めようとしている。国民にさらなる負担を強いる、その驚くべき中身とは。
「今日より明日は良くなると実感できる日本を実現する」──石破茂・首相は国会閉会後の会見でそう語ったが、言葉とは裏腹に、やっているのは“今日より負担が重くなる”政策ばかりだ。
今国会で立憲民主党と組んで年金改悪を行ない、次は日本維新の会と組んで医療費改悪を進めている。自公維3党は国会終盤に「国民負担を軽減する」と全国11万床の病床削減やOTC類似薬の保険適用除外など医療費削減で合意。政府は6月13日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)に改革を「2026年度から実行する」と明記した。
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とくに国民への影響が大きいのがOTC類似薬の保険給付見直し(保険除外)だ。これが実施されると「国民負担軽減」とは正反対の大きな負担増になる。
OTC類似薬とは、解熱剤のカロナールやメジコンなどの咳止め、湿布剤、花粉症薬、アトピー薬などドラッグストアで市販されている一般用医薬品(OTC)と類似の保険薬のことだ。患者は医師の処方箋をもらって調剤薬局で購入するが、保険が適用されるため一般薬より安い。政府はこれを保険対象外にすれば医療費が1兆円削減できると主張している。
健康保険の対象外にすれば健保財政と国庫の負担は減る。だが、患者はこれまで調剤薬局で3割負担で買えていた薬を、今後はドラッグストアで高い値段の市販薬を買わなければならなくなる。健保財政は軽減されても、国民の医療費負担は増す。