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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】アール・エス・シー Research Memo(5):2025年3月期はマイナス要因を打ち返し、期初計画を上回る増収増益

*12:05JST アール・エス・シー Research Memo(5):2025年3月期はマイナス要因を打ち返し、期初計画を上回る増収増益
■アール・エス・シー<4664>の決算概要

1. 2025年3月期の業績概要
2025年3月期の連結業績は、売上高が前期比9.2%増の8,845百万円、営業利益が同6.0%増の301百万円、経常利益が同3.4%増の310百万円、親会社株主に帰属する当期純利益(以下、最終利益)が同23.6%減の187百万円と、期初計画(売上高8,103百万円、営業利益152百万円、経常利益152百万円、最終利益79百万円)を上回る増収増益となった。なお、最終利益のみが前期比で減益となったのは、投資有価証券売却益(特別利益)のはく落によるものである。

売上高は、前期好調だった臨時業務受注(グループ会社友和商工の工事業務)の反動減、並びに予定されていた官公庁大型長期案件の終了による影響(約10億円の減収要因)があったものの、建物総合サービス(警備・清掃部門等)での新規業務の開始や、大型周年イベント業務の受託(約13億円の増収要因)により増収となった。特に期初計画を上回ったのは、大型周年イベントにおける仕様変更による影響が大きかったほか、建設工事や設備部門が上振れたことが要因である。

損益面については、期初計画に沿った人的資本投資(賃上げ等)や物価上昇に伴う建設資材等の高騰がコスト要因となったものの、増収による収益の底上げより増益を確保した。営業利益率は3.4%(前期は3.5%)とほぼ横ばいで推移した。

財政状態について大きな動きはなく、長期借入金の返済に伴う現預金の減少等により総資産は前期末比1.0%減の4,160百万円とわずかに縮小した。一方、自己資本は利益剰余金の積み増しにより同5.9%増の2,178百万円に拡大したことから、自己資本比率は52.4%(前期末は49.0%)に改善した。

セグメントごとの業績及び活動実績は以下のとおりである。

(1) 建物総合管理サービス事業
売上高は前期比4.2%減の6,879百万円、セグメント利益は同6.8%減の626百万円と減収減益となった。売上高は、前期好調だった友和商工による内装工事の反動減や官公庁との長期大型契約の終了により減収となった。ただ、建物総合サービス(警備・清掃部門等)での新規案件※1の開始に加え、設備部門における臨時案件※2や工事部門における大型工事※3などを数多く受注したことで計画を上回った。損益面では、減収による収益の下押しに加え、人的資本投資及び建築資材等の高騰により減益となり、セグメント利益率は7.1%(前期は8.3%)に低下した。一方、活動面では、サンシャインシティプリンスホテルにてAI警備システムを取り入れた警備業務を開始したほか、サンシャインシティ各エリアにおける本格運用、さらにはHarezaTower(池袋)での実証実験の開始など、警備DXの実現に向けて進展を図った。

※1 大型シティホテル、都内大型物流施設に加え、グループ会社RSC中部による飛鳥コンテナ埠頭等の大型警備業務案件を複数獲得。
※2 大型家電量販店の昇降機設備等のリニューアル業務並びに学校給食センターの設備機器の修繕業務など。
※3 サンシャインシティのシャッター改修工事など。

(2) 人材サービス事業
売上高は前期比114.2%増の1,966百万円、セグメント利益は同231.2%増の119百万円と大幅な増収増益となった。こちらも官公庁大型長期案件の終了による影響が大きかったものの、大型周年イベント業務の受託(及び仕様変更)などにより大きく伸長し、計画を上回る増収となった。損益面でも、人件費等の費用増を増収によりカバーし大幅な増益となった。セグメント利益率も1.3%(前期は0.4%)に改善した。

2. 2025年3月期の総括
2025年3月期を総括すると、官公庁との長期大型契約(警備保障・人材サービス)の終了による影響があったなかで、それを打ち返すだけの受注を獲得できたことは、好調な受注環境と同社の幅広い需要を取り込む総合力(警備保障のほか、イベント運営、清掃業務、設備・建設工事等)を実証したものと評価できる。収益基盤である施設警備は年間契約ということで比較的安定しているが、最近の社会情勢を背景に需要が高まっているイベント関連業務や設備工事等のスポット受注が業績の上振れ要因となっている点には今後も注意が必要となろう。活動面では、他社との連携によるAI警備システムの本格運用などで注目すべき成果を上げることができ、人材不足が課題となっている警備業界において、業務効率や差別化を図るうえでも大きなアドバンテージとなる可能性が高い。また、今後の伸びしろの1つとして取り組んでいる清掃業務の体制強化に向けては、M&Aの実現((株)クリーンフォースのグループイン)や清掃ロボットの導入(埼玉エリアの複合施設)など具体的な動きが出てきた。今後いかに規模拡大や新技術の導入等により効率化を図っていくのかがカギを握ると弊社では見ており、これからの展開に期待したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

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