*16:06JST エヌ・シー・エヌ Research Memo(6):非住宅分野の業績が回復し黒字化(2)
■エヌ・シー・エヌ<7057>の業績動向
3. トピックス
(1) 「SE構法Ver.3」の販売開始
2025年4月、同社独自の建築システムである「SE構法」が2025年4月1日付けで日本建築センターの構造評定を取得したこと、及び当該構造評定による新バージョン「SE構法Ver.3」を同年6月1日から販売開始する旨を発表した。これらにより「SE構法」の適用範囲が拡大され、2026年4月の建築基準法の改正(木造戸建住宅の壁量計算等の厳格化)への対応だけでなく、性能強化により設計の自由度がより高まるとともに、大規模木造建築の大型化にも優位性を発揮できる仕様となった。主な変更点として、1) 構法の適用範囲拡大による非住宅建築物への対応強化(階高の伸長、最大スパンや延べ面積の制限無しへの拡大等)、2) 大断面部材の標準化による非住宅建築への対応強化(短期引張力の2.2倍増)、3) 「G-BOARD」の採用と「TN釘」の開発による高耐力壁と大空間の両立、4) SE金物幅のスリム化・軽量化が挙げられる。蓄積した構造設計技術と組み合わせることで、高度な耐震性を誇る木造建築システムの提供がさらに広まることが期待される。構造計算や壁量計算等の法基準遵守はもちろん、特に開放感のある住宅を求める顧客に対し、優位性を相当期間キープできると考えられる。
(2) 「大規模木造建築ネットワーク」の設立
2025年5月、非住宅木造建築の「設計・サプライチェーン・施工・品質」の提供に特化した「大規模木造建築ネットワーク」を設立し、同年7月1日から活動を開始することを発表した。2050年のカーボンニュートラル実現に向けて非住宅木造建築への注目が高まるなか、木造化ニーズに対応するとともに、そのなかで発生する諸課題へのソリューションの提供を目的とする。同社の有するSE構法登録施工店のうち、大規模木造建築に対応できる全国36社の施工店をネットワーク化し、同社がこれまで培った非住宅木造建築に関する「設計・サプライチェーン・施工・品質」を提供することでクライアントからの木造化ニーズに応える。具体的には、設計事務所やゼネコン、デベロッパー等を顧客に、大規模木造建築案件に対する最適な施工業者を紹介してソリューション提供することで、大規模建築の木造化を促進、普及し、同社のさらなる事業拡大につなげる。2026年3月期業績への寄与は軽微だが、中長期的には業績を向上させる施策と言えるだろう。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
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