*11:02JST 飯野海運 Research Memo(2):125年を超える歴史を持つ海運会社
■会社概要
1. 会社概要
飯野海運<9119>は1899年に創業(飯野商会、京都府舞鶴市)し、125年を超える歴史を持つ海運会社である。新たな企業理念(IINO PURPOSE)に「安全の確保を最優先に、人々の想いを繋ぎ、より豊かな未来を築きます」を掲げ、事業ポートフォリオ経営の推進による経済的価値の向上にとどまらず、マテリアリティ(サステナビリティ重要課題)の克服により社会的価値の創造を図り、同社の掲げる共通価値の創造に向けた取り組みを強化している。2025年3月期末の資産合計は306,431百万円、純資産は145,645百万円、自己資本比率は47.5%、発行済株式数は108,900,000株(自己株式3,096,941株を含む)、連結従業員数は698名となっている。同社グループは同社及びグループ会社84社(連結対象子会社67社、持分法適用会社8社、連結対象外関係会社9社)で構成されている。海外では駐在員事務所を上海に、現地法人をシンガポール、ドバイ、ロンドン、ヒューストンに、船舶管理拠点をプサンにそれぞれ展開している。主要な連結子会社は船舶管理を行っているイイノマリンサービス(株)、内航・近海海運業のイイノガストランスポート(株)などである。
2. 沿革
1899年、創業者の飯野寅吉(いいのとらきち)氏が京都府舞鶴市に飯野商会を設立して港湾荷役業及び石炭運送業に着手した。その後、1944年に現商号の飯野海運(株)に改称、1949年に東京証券取引所(以下、東証)へ株式上場、2022年4月の東証の市場再編に伴ってプライム市場へ移行した。
海運業では1964年の海運集約に際して定期航路部門を分離・譲渡し、以来、タンカー・不定期貨物船経営を主力としている。近年は2019年12月にメタノールを燃料として使用可能な同社初の二元燃料主機関搭載メタノール船が竣工、2020年3月に同社保有船初のSOxスクラバー(脱硫装置)搭載VLCCが竣工、2022年2月にLPGを燃料として使用できる同社初の二元燃料主機関搭載VLGCが竣工、2024年2月にゼロエミッション燃料として注目されるアンモニア燃料への将来的な切り替えに対応可能なアンモニア運搬船が竣工するなど、環境への負荷を低減する技術を積極導入している。
不動産業では2011年10月に飯野ビルディング建て替え1期工事が完了して開業、2014年11月に飯野ビルディング2期工事が完了してグランドオープンした。2021年6月には旧東京桜田ビルを含む新橋田村町地区市街地再開発事業で日比谷フォートタワーが竣工した。海外では2020年3月に英国ロンドンのオフィスビルを取得、2024年3月に英国ロンドンにおいて2棟目となるオフィスビルを取得するなど、不動産業の海外展開も積極化している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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