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FiscoNews

【注目トピックス 日本株】飯野海運 Research Memo(6):2025年3月期は一部市況軟化の影響等で減益

*11:06JST 飯野海運 Research Memo(6):2025年3月期は一部市況軟化の影響等で減益
■飯野海運<9119>の業績動向

1. 2025年3月期連結業績の概要
2025年3月期の連結業績は売上高が前期比2.8%増の141,866百万円、営業利益が同10.3%減の17,100百万円、経常利益が同20.3%減の17,368百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同7.0%減の18,367百万円となった。平均為替レートは152.73円/米ドル(前期は143.82円/米ドル)、平均燃料油価格(適合油)は612米ドル/MT(同620米ドル/MT)だった。各利益は減益となったが、会社予想(2025年1月31日付の3回目の修正値、売上高143,000百万円、営業利益16,600百万円、経常利益16,900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益17,200百万円)は上回った。大型原油タンカーの一部船舶の採算改善、為替の円安影響などがプラス要因だったが、ケミカルタンカーの運航隻数減少、大型ガス船の一部船舶における市況軟化、ドライバルク船におけるコスト増加、不動産業における英国不動産2棟目の初期費用計上などが影響した。

売上総利益は同2.6%減少し、売上総利益率は同1.1ポイント低下して20.1%となった。販管費は同11.8%増加し、販管費率は同0.7ポイント上昇して8.1%となった。この結果、営業利益率は同1.7ポイント低下して12.1%となった。営業外では為替差損益が同1,983百万円減少(前期は為替差益1,495百万円、当期は為替差損488百万円)したほか、営業外費用に休止資産関連費用449百万円を計上した。また特別利益では投資有価証券売却益が同1,265百万円増加(前期は537百万円、当期は1,802百万円)し、特別損失では前期に減損損失(2,137百万円)を計上したが当期は生じていない。

セグメント別の業績について、外航海運業は売上高が前期比2.4%増の117,501百万円で営業利益が同12.7%減の13,184百万円、内航・近海海運業は売上高が同10.4%増の11,343百万円で営業利益が同2.5%増の454百万円、不動産業は売上高が同1.0%増の13,103百万円で営業利益が同1.5%減の3,462百万円となった。また同社資料によると、全社営業利益の前期比19.6億円減少の内訳は、大型原油タンカーが同4.8億円増、ケミカルタンカーが同12.4億円減、大型ガス船が同15.7億円減、ドライバルク船が同7.6億円減、中小型ガス船が同0.4億円減、不動産業が同0.5億円減、その他(各分野の為替影響を抜き出して集約)が同12.2億円増となった。

大型原油タンカーは一部船舶の採算改善や、前期の入渠工事費用の反動などで増益となった。ケミカルタンカーは安定的なCOAや高運賃のスポット貨物の取り込みなどで好採算を確保したが、運航隻数減少に伴う稼働日数減少やコスト増加の影響で減益となった。大型ガス船は一部の船舶が市況軟化の影響を受けたため減益となった。ドライバルク船は効率的な配船・運航により運航採算を確保したが、コスト増加により減益となった。不動産業は全体としてオフィスフロアの稼働が順調に推移したが、英国不動産2棟目の初期費用計上に加え、飯野ビルディングの自社利用フロア拡大に伴うテナント家賃収入減により小幅減益となった。その他は為替の円安が寄与した。

財務体質の改善が進展

2. 財務の状況
財務面で見ると2025年3月期末の資産合計は前期末比13,203百万円増加して306,431百万円となった。主に現金及び預金が同6,251百万円減少、船舶(純額)が同6,534百万円減少した一方で、土地が同7,791百万円増加、建設仮勘定が同20,265百万円増加した。負債合計は同315百万円減少して160,787百万円となった。長短借入金合計が同1,890百万円増加して120,654百万円となった一方で、流動負債のリース債務が同2,963百万円減少した。純資産は同13,519百万円増加して145,645百万円となった。利益剰余金が同12,442百万円増加したほか、為替換算調整勘定が同1,809百万円増加した。この結果、自己資本比率は同2.5ポイント上昇して47.5%、D/Eレシオは同0.06ポイント低下して0.84倍となった。

自己資本比率の上昇やD/Eレシオの低下など財務体質の改善が進展している。過去5期(2021年3月期末~2025年3月期末)の推移を見ると、自己資本比率は2021年3月期末の32.5%から2025年3月期末の47.5%へ15.0ポイント上昇、D/Eレシオは同じく1.65倍から0.84倍へ0.81ポイント低下した。海運業と不動産業を両輪に安定収益基盤を構築しており、財務健全性に特に懸念材料はないと判断できるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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