利上げが追い風となるのは銀行株以外にも(写真:イメージマート)
12月18~19日の日銀金融政策決定会合を前に、利上げ観測が高まっている。株式市場にとって金利上昇は“逆風”になるというのが定説だが、歴戦の億り人をはじめ投資の達人たちに話を聞くと、今回は「むしろ絶好のチャンス」との声が相次いでいる。
マーケットバンク代表の岡山憲史氏は「利上げによって円高に転じれば輸出企業にとっては逆風。また不動産など借入金依存度の高いセクターも返済金利上昇による負担増が懸念される」としつつも、こんな見方を示す。
「実際には利上げが業績にプラスに働く企業は少なくありません。むしろ利上げ局面だからこそ浮上する『勝ち組セクター』も存在します。そうしたセクターごとの明暗を理解すれば、利上げは“株価下落の恐怖”ではなく、むしろ“儲けるチャンス”に変わります」
「キャッシュリッチ」企業に注目
利上げが追い風となる「勝ち組セクター」として有力視されるのが、「銀行株」だ。利上げに伴って収益源である貸出金利が上昇することで業績向上が見込めるというシナリオだ。
だが、狙い目は銀行株だけではない。
投資歴30年以上で、市場では見放されがちな割安銘柄を発掘し、10億円超の資産を築いている兼業投資家の株億太郎氏は「利上げによって借金の多い企業は厳しくなる反面、借金が少なく保有する資金が潤沢な企業は運用益の増加が見込めます」と指摘。
そうした手元資金が豊富な、いわゆる「キャッシュリッチ」企業はカブ知恵代表の藤井英敏氏も推す。
「手元の現金等が5020億円規模にのぼる、産業用ロボットを手がけるファナック、手元の現金等が6251億円規模の、積層セラミックコンデンサーで世界首位の村田製作所はキャッシュリッチなうえ、今後有望な“AI付きロボット”といえる『フィジカルAI』関連としても大きな期待が寄せられています」
マーケットバンク代表の岡山憲史氏も「潤沢なキャッシュフローを持つNTTは安定株として再評価されやすい」と見る。
円高で輸入コストが下がり業績拡大につながる企業も
さらに、利上げによる「円高」が追い風になる銘柄もある。
