利上げが株式市場にどう影響するか(日銀の植田和男・総裁/時事通信フォト)
日銀の利上げ観測が高まっている。株式市場にとって金利上昇は“逆風”になるというのが定説だが、歴戦の億り人をはじめ投資の達人たちに話を聞くと、今回は「むしろ絶好のチャンス」との声が相次いでいるのだ。どういうことか。
政策金利が「30年ぶり」の高水準に
日銀が利上げに踏み切る可能性について、マーケットバンク代表の岡山憲史氏が解説する。
「12月18~19日の日銀金融政策決定会合を前に、市場では利上げの観測が急速に高まっています。長期金利の指標となる10年物国債の利回りは1.9%台と2007年7月以来18年ぶりの高水準に。為替も円高に振れるなど、すでに市場では政策金利の0.5%から0.75%への引き上げが相当な確度であると織り込んでの動きが見られます。
この30年間、政策金利が0.5%を超えたことはなく、1995年9月に公定歩合(当時)が1.0%から0.5%に引き下げられて以来、実に30年ぶりの高い水準になるということです」
仮に今回の金融政策決定会合で利上げが見送られたとしても、来年1月に踏み切るとの見方が有力だ。岡山氏が続ける。
「多くの市場関係者は今後の利上げ回数を1~3回程度と想定しており、いずれにしても時間の問題と見られています。利上げによる景気後退を避けたい日銀は12月に0.25%幅の利上げをして、さらに来年も0.25%幅の利上げで政策金利を1%にする。そこからしばらくは利上げを見送るシナリオになる可能性が高いと見ています」
ほぼ既定路線となっている利上げだが、一般的には物価や景気の過熱を冷やす効果があるとされ、株式市場にとってはマイナスに働く傾向が強い。
また、日銀が利上げする一方で、米国では利下げが進み、日米金利差の縮小によって円が買われて「円高」が進む可能性もある。円高はこれまで日本株を牽引してきた輸出企業の業績を圧迫する要因にもなりかねない。
むしろ利上げ局面だからこそ浮上する「勝ち組セクター」も
だが、カブ知恵代表の藤井英敏氏はこう見る。
