*12:32JST 早稲アカ Research Memo(2):小学部を中心に塾生数が拡大、2026年3月期中間期は1ケタ増収2ケタ増益に
■早稲田アカデミー<4718>の業績動向
1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高で前年同期比7.7%増の18,272百万円、営業利益で同11.2%増の1,667百万円、経常利益で同12.1%増の1,678百万円、親会社株主に帰属する中間純利益で同15.9%増の1,059百万円といずれも会社計画を上回り、中間期として過去最高業績を連続更新した。小学部を中心に期中平均塾生数が同3.9%増の49,535人と順調に増加したことに加え、物価や人件費などの上昇を受けて授業料金を平均で3〜4%引き上げたことが増収要因となった。利益面では、増収効果に加えて業務効率の向上や費用統制に取り組んだことが増益要因となり、営業利益率は前年同期比0.3ポイント上昇し、9.1%となった。会社計画に対して営業利益で237百万円上振れたが、広告宣伝費の一部が下期に後ろ倒れしたことが主因となった。
(1) 部門別売上高と塾生数の動向
部門別売上高について見ると、小学部が前年同期比9.9%増の11,149百万円、中学部が同3.9%増の6,077百万円、高校部が同9.2%増の926百万円、幼少教育を含むその他が同5.8%減の118百万円となった。期中平均塾生数では小学部が同5.1%増の29,518人、中学部が同0.9%増の16,994人、高校部が同11.5%増の2,870人、幼少教育を含むその他が同7.8%減の153人となり、小学部と高校部が順調に増加した。難関校への高い合格実績や東進衛星予備校・個別指導などによる多様なニーズに応えるサービスの提供により新規入塾生を獲得したほか、AIを活用したサービス品質向上施策により退塾率が低下したことも奏功した。
小学部では、低学年が伸び悩んだものの受験コースの5年生及び6年生が順調に増加したことにより、1人当たり平均売上単価も前年同期比4.4%上昇した。中学部では少子化の影響で高校入試の環境が変化してきた影響で、入塾のタイミングが遅くなる傾向が続いており、3年生は堅調に推移したものの2年生が苦戦した。高校部の塾生数が大きく伸長した要因は、2024年から開始した「東進衛星予備校」の開校数増加とともに順調に増加していることが主因で、そのほか「個別進学館」も集団校舎の近隣に開校することで併用率が上昇し増加基調が続いた。また、大学受験部についても東大合格者数の増加を背景に塾生数が若干増加するなど、ここ数年取り組んできたLTV最大化の取り組みの成果が出てきたものと評価される。1人当たり平均売上単価が同2.0%低下したが、授業料が相対的に低い「東進衛星予備校」や「個別進学館」の構成比が上昇したことによる。なお、幼少教育の「サン・キッズ」については生徒数が同7.8%減の153人とやや苦戦した。2025年3月に3教室のうち1教室を閉校した影響が出たが、同年4月に豊洲校を新規開校している。
(2) 校舎展開
校舎展開としては、2025年7月に個別進学館成増校を新規開校し74校体制としたほか、同7月に東進衛星予備校都立大学校を新規開校し7校体制とした。また、子会社では幼児未来教育が同4月にサン・キッズ豊洲校を新規開校し、3校体制とした。「個別進学館」については中期目標として100校体制(FC校含む)を目指しており、集団塾の近隣に積極的に校舎展開していく方針となっている。1校舎当たりの採算も取れておりFCオーナーの投資意欲も旺盛であり、条件に適う物件の探索を進めている模様。
(3) 2026年3月期中間期の動向
2026年3月期中間期の売上原価率は前年同期比0.9ポイント低下の69.5%となった。既存校舎の塾生数増加によって固定費比率が低下したことが主因で、地代家賃で同0.5ポイント、労務費で同0.4ポイントそれぞれ低下した。販管費率は同0.6ポイント上昇の21.4%となった。賃金改定により労務費が同0.1ポイント上昇したほか、その他費用が同0.5ポイント上昇したことによる。その他費用では創立50周年記念関連費用やマーケティング費用、人材採用費などが増加した。
(4) 子会社の業績動向
野田学園については、医学部を受験する既卒生の減少傾向が続いており売上高で苦戦が続いた。新規生徒獲得に向けて、今後広告・募集施策の見直しを進めていく予定だ。集学舎と水戸アカデミーについては生徒数も堅調に推移しており、業績は計画通りの進捗となった。特に水戸アカデミーについては高い合格実績を背景に、公立中高一貫コースの塾生数が好調だった。また、海外子会社についても堅調に推移した。2025年3月期より連結対象に加わった幼児未来教育は既述の通り、生徒数の減少により減収減益となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<HN>