Z世代の求める理想の職場環境とは(イメージ)
セクハラ、パワハラ、モラハラ──。良かれと思った一言が、いつの間にか「アウト」になるかもしれない時代。部下には気を遣い、言葉を選び、それでもどこか噛み合わない。「給料は欲しいけれど、やる気は出したくない」「評価はされたいが、みんなの前で褒められるのは苦手」。そんな若者たちに、戸惑いや息苦しさを感じている上の世代もいるのではないだろうか。
こうした「若者の価値観」に真正面から向き合ったのが、金沢大学融合研究域融合科学系教授で、北海道医療大学客員教授も務める金間大介氏と、博報堂生活総合研究所主席研究員の酒井崇匡氏だ。Z世代は上司に何を求め、何を嫌うのか。両氏の共著『仕事に「生きがい」はいりません 30年の調査データが明かすZ世代のリアル 』より、膨大なアンケートデータをもとに浮かび上がった“Z世代のリアル”と職場の溝について、一部抜粋・再構成して紹介する。【全3回の第1回】
上司は自分の世界線の延長にいない
株式会社SHIBUYA 109エンタテイメントが発表した「Z世代の仕事に関する意識調査」のデータで着目したいのが「自分の理想に近い生き方・働き方をしている」という項目だ。複数回答可という設問において、わずか12%程度しか票が入っていない。
若者はときどき「ロールモデルがいない」といったことを、働く上の不安の一つとして表出する。そしてまじめな人事担当者は、このコメントを真摯に受け止める。が、実際のところ、上司や先輩に自分のロールモデルを求める若者は少数しかいないということだ。
大事なことなので、換言してもう一度。今の若者の多くは、所属組織の上司や先輩を、自分の世界線の延長として真剣に捉えることをしない。
この結果は僕の研究ともよく合致している。僕(金間)の見立てでは、このように上司や先輩を自分と同じ世界線で考える若者は多くても2割程度だ。それ以外の若者は、自分の世界はあくまで同世代(特に同性)を中心に構成されており、その外の人たちを別世界の生物と見なしている節がある。
若者にとって見本となるのは、あくまで「横」の世界。具体的には、同世代かつ自分と近しい生き方をしている人たちが、自分のそれと大きく乖離していないかが重要になる。
なぜこの授業を履修したかと問えば、みんな取ってるから。なぜインターンシップに参加するかと問えば、みんなが参加しているから。大学においても、こうした風潮は極めて普通のことだ。
