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医心伝身プラス 名医からのアドバイス

高齢化に伴い増加傾向の「パーキンソン病」の根本治療に挑む脳科学者の取り組み 治療薬「MF1」の可能性と、血液1滴で発症リスクを可視化する最新検査【脳科学者が解説】

FABP3阻害薬は脳内でαシヌクレインと共に凝集するFABP3(図では別々に記載)に作用し、αシヌクレインの「凝集」「ミトコンドリア障害」「細胞内取り込み」を抑制する

FABP3阻害薬は脳内でαシヌクレインと共に凝集するFABP3(図では別々に記載)に作用し、αシヌクレインの「凝集」「ミトコンドリア障害」「細胞内取り込み」を抑制する

 日々のストレスで便秘がちなビジネスマンも多いだろうが、腸の炎症がパーキンソン病発症に関与しているという研究がある。この「腸から脳へ」というルートが解明されたことで、根本的な治療薬の開発もようやく兆しが見え始めてきたが、まだ時間を要する見通しだ。予防のために自衛する手段はないのか──。シリーズ「医心伝身プラス 名医からのアドバイス」、パーキンソン病の発症原因の特定と根本治療のために、40年以上認知症などの神経変性疾患の研究をしてきたBRIファーマ(株)代表取締役・福永浩司氏(東北大学薬学研究科名誉教授)が解説する。【パーキンソン病と痛みの関係・後編】

患者600名の血液検査からパーキンソン病治療薬を共同開発

 パーキンソン病の発症には「αシヌクレイン」というタンパク質が深く関与しています。神経細胞内に存在するこのタンパク質は、炎症や酸化ストレスによって変質すると、毒性を持った凝集体となってドーパミン神経細胞内に蓄積して、痛みや筋肉のこわばりなどの運動障害を引き起こします。

 腸の炎症によって凝集したαシヌクレイン(αシヌクレイン凝集体)が、迷走神経を介して脳に伝播し広がっていることはマウスやパーキンソン病患者の解剖などで実証されています。私たちは、レビー小体が蓄積している死後脳の研究から、レビー小体に「FABP3」という脂肪酸結合タンパク質が同時に蓄積することを突き止めました。

 このFABP3がパーキンソン病の進行に関与していることを確認するために、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、軽度認知障害の患者600名の血漿中のFABP3のレベルを測定し、健常者と比較する試験を行ないました。神経変性疾患を有するすべての患者の血液検査の結果は、健常者に比べFABP3の測定値が高くなっていることが確認されました。特にパーキンソン病患者では、便秘などで腸が炎症を起こすと腸内で産生される「FABP2」が血漿中で高い値で検出され、病態への関与を強く示唆したのです。

 このFABP3の作用をブロックすればパーキンソン病の治療薬になると考え、福島県立医科大学の川畑伊知郎特任准教授と共同開発したのが低分子治療薬「MF1」です。MF1はFABP3の働きを阻害することで、αシヌクレインの凝集と神経細胞間の伝播を抑え、さらに細胞内のミトコンドリア障害も防ぐことができます。

次のページ:パーキンソン病、認知症の根本治療薬を目指す
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