冬を無事にそして快適に過ごして春を迎えると、「夏タイヤ」としての快適さを味わうことができた
雪国以外のエリアでの「クルマの冬対策」として、通年使用できる「オールシーズンタイヤ」への関心が高まっている。そうしたなかで、大谷翔平選手をCMに起用するなど話題を集める、ダンロップの次世代オールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」の実力やいかに。自動車ライター・佐藤篤司氏が検証ドライブを試みた。
シンクロウェザーの発売直後、2025年1月に、ロングレポート用のテスト用車両「MINIクーパー・クラブマン」に標準サイズ(175/65R15)」を装着。冬期間はもちろんだが、夏タイヤとしての適応力チェックが始まった。そして1年、走行距離は約8000kmとなったが、「シンクロウェザー」の夏タイヤとしての適応力と、そして2シーズン目に入った冬タイヤとしての実力は? シリーズ「快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた」、佐藤氏がレポートする。【全3回の第2回。第1回から読む】
ドライ路面・ウェット路面での乗り心地
ゴムの性質が路面状況や温度に合わせて変化するという画期的な技術を実現した「ダンロップ・シンクロウェザー」。昨年の冬、その新しい技術を採用したオールシーズンタイヤを装着して、旅行やスキー、そして数度にわたる帰省(新潟)を難なくクリアしてくれました。それまで冬タイヤとして欧州タイヤメーカーのスタッドレスタイヤを3シーズンほど使用していたのですが、そのタイヤ以上に圧雪路など雪道をストレスなく走り切ってくれました。
また、これまでオールシーズンタイヤの懸念事項であった、凍結路での安定感ですが、「一世代前のスタッドレスの性能ぐらいかなぁ」という印象を得ました。もちろんそれほどの「シンクロウェザー」であっても、スタッドレスタイヤの「完全なる代替」ではないという「現実」は常に意識して走ることにしていました。
一方、「冬のスペシャリスト」である「スタッドレスタイヤ」ですが、雪のない道路で使用すれば「腰高感がある」とか「排水能力が夏タイヤよりも劣るため「ハイドロプレーニング」が起こりやすくなったり、制動距離が長くなったりする傾向があります。さらに夏用タイヤに比べてゴムが柔らかいので、ドライ路面などで使い続ければ、夏用タイヤよりも減りが早くなります。冬以外に使用することは、こうしたいくつかの不都合を覚悟することになります。
それに対して「オールシーズンタイヤ」は「安全に快適に通年使用」を最大の特徴です。冬に活躍したと同じように、夏場タイヤとしても3シーズンにわたって「満足」できる仕上がりが求められます。この点、シンクロウェザーはどうだったのでしょう。
まず感心したのはドライ路面での「しなやかな」乗り心地。段差や凸凹では少しだけ堅さを感じるものの、総じてしなやかで、路面のうねりなどをフレキシブルにいなしながら走る感覚は「よくできたコンフォートタイヤ」という印象です。一点だけ気になったのはロードノイズが“静粛!”と特筆するほどではない点でしょうか? ストレスは感じませんから、うるさくはないのですが……。
次にウェット性能ですが適応性の高さを見せました。安定感は印象的で、ゲリラ豪雨のような状況での高速走行でも、ステアリング操作に対する応答は自然。制動時の挙動も穏やかで、不安感はほとんど感じませんでした。この辺も「水スイッチ」が入り、ゴム表面が柔らかくなることで排水性と密着性を高め、ウェット路面に適応した性格に変化してくれたためだと思います。
ドライ路面においてですが冬タイヤにありがちな“腰砕け感”はありません。高速道路での直進安定性、コーナリング時の剛性感ある操縦性も確保されています。ただ、スポーツタイヤのような「手応えのある高度なレスポンス」を期待すると、少し物足りなさがあることは事実です。コンフォートとスポーツ、本来は方向性が違いますから仕方がありません。それでも軽量コンパクトなMINIにとって、コンパクトカーならではの軽快感をしっかりと感じながら過ごすことができました。
高速走行中の突然の豪雨。路面にはしっかりとした水たまりが出来ていたがハイドロプレーニングを起こすことなく安定した走行
夏の強い日差しと猛暑の中でも、ステアリング操作に対してよれた感じもなく、しっかりとした手応えを感じさながらドライブできた


