*13:07JST サイバーリン Research Memo(7):2030年12月期に売上高221億円、経常利益30億円を目指す
■中期経営計画
サイバーリンクス<3683>は2025年12月期を最終年度とする中期経営計画は、数値目標である売上高170億円、経常利益16.8億円を達成した。これに伴い、2030年12月期を最終年度とする新しい中期経営計画(5ヶ年)を発表した。以下はその概要である。
1. ビジョンと定量的目標
(1) ビジョン
同計画のビジョン(目指す姿)として「人々の豊かな暮らしに貢献し、誰からも選ばれるITカンパニーへ。」を掲げている。これを実現するために、「顧客から選ばれる」「従業員から選ばれる」「投資家・地域社会から選ばれる」ことを目指す。
i) 顧客に選ばれるITカンパニー
まず、「顧客に選ばれるITカンパニー」の実現に向けて、各事業において明確なミッションを実行する。流通クラウドでは日本の豊かな食の暮らしを守り発展させることを、官公庁クラウドではクラウドの力で自治体を活性化し、持続可能な安心・安全社会を実現することを使命とする。また、トラスト事業では信頼性のあるデジタル社会の構築を目指し、モバイルネットワーク事業では誰もがデジタル技術の利便性を享受できるよう地域の顧客をサポートしていく。
ii) 従業員に選ばれるITカンパニー
「従業員に選ばれるITカンパニー」となるため、採用面では東京・大阪での採用を増やし地方イメージからの脱却を図るほか、戦略的な人材育成を推進する。組織面ではサイバーセル経営の浸透とAIの活用によるDXを推進し、人事制度面では等級・報酬・評価制度の刷新によって組織の活性化を図る。
iii) 投資家・地域社会に選ばれるITカンパニー
「投資家・地域社会に選ばれるITカンパニー」となるため、広報・PR/IR活動の強化、地域貢献活動の推進、株主還元・資本効率の向上を一体となって推進する。
(2) 定量的目標
本計画の定量的目標としては、2030年12月期に売上高221億円(2025年度比22.1%増)、定常収入126億円(同44.8%増)、定常収入比率57.1%(同9.0ポイント上昇)、経常利益30億円(同61.5%増)、経常利益率13.6%(同3.3ポイント上昇)、ROE13%以上を目標としている。
2. 事業別ビジョン、戦略と数値目標
(1) 流通クラウド事業
流通クラウド事業のビジョンは、食に関わる全ての企業が時代の変化に取り残されず、生き生きと活発に本来の企業活動が持続できる世界を創り出すことである。流通クラウド事業の数値目標として、2030年12月期に売上高80.4億円、定常収入64.8億円(定常収入比率80.6%)、経常利益18.5億円(経常利益率23.0%)を目指す。
食品小売業向け事業戦略では、これまで高いシェアを確立してきた「@rms基幹」では「年商300億円未満(約800社・約6,000店舗)」の中小規模市場に加え、今後は「年商300億円以上(約200社・約17,000店舗)」の中大規模企業領域をターゲットに定め、同分野における存在価値を高めていく。併せて、周辺サービスの一部を非食品小売分野へも展開する。食品卸向けには、加工食品卸市場で高いシェアを持つ「クラウドEDI-Platform」をさらに拡販し、“圧倒的トップシェア”を目指す。具体的には、年商1,000億円以上の企業におけるシェアを2025年の55%から2030年には75%へ引き上げる計画である。また、零細食品メーカーや日用品雑貨卸など、新規市場の開拓も並行して進める。
食品流通業界全体に対しては、「C2Platform」による商談支援を業界全体へ浸透させる。業界団体との関係性を深めて推奨獲得を目指すほか、業界横断の標準商品マスタ構築への取り組みと連携を検討する。これにより、導入ID数を2025年度の693から6,500まで拡大する方針である。
海外進出に関しては、専門店向け販売・在庫管理システム「RetailPro」を通じて日本ブランド専門店の東南アジア進出を支援する。特に日系企業が多い台湾への拠点設置を検討する。
(2) 官公庁クラウド事業
官公庁クラウド事業は、クラウドとAIの力で自治体業務の効率化と住民の利便性を追求し、持続可能な安心・安全社会を実現することをビジョンに掲げている。2030年12月期に売上高95.7億円、定常収入50.6億円、経常利益14.2億円の達成を目標としている。
事業戦略としては、全国クラウドサービスと地域密着サービスを成長と安定の両輪として推進する。成長ドライバーである全国クラウドサービスでは、文書管理システム「ActiveCity」の販売に注力し、小規模自治体レンジでシェア首位を目指す。2025年に10%であったシェアを2030年には20%まで拡大する計画である。また、マイナンバーカードを活用し、窓口相談・各種申請をオンラインで行う「みんなの窓口」へのAI組み込みによる機能強化や、防災DXサービス「こうずいアラートクラウド(仮称)」などの新サービス開発も進める。
安定収益基盤となる地域密着サービスでは、地域で培った信頼を全国展開の基盤として活用し、防災・基幹・セキュリティの各分野へ展開する。
(3) トラスト事業
トラスト事業では、自治体向け、民間・金融機関向けの各分野における成長領域でトラスト基盤の社会実装を加速させる。数値目標として、2030年12月期に売上高5.0億円、定常収入3.9億円、経常利益2.0億円を目指す。
Web3.0社会の実現に向け、デジタルトラストの申請から発行、検証に必要な要素を自社構築または獲得し、将来的には一連のフローを包括的に管理できるプラットフォームを構築する。具体的には、高度な本人確認を可能にする「オンライン本人確認(eKYC)」や、証明書をスマホで安全に管理できる「VCウォレット」の開発を進める。
(4) モバイルネットワーク事業
モバイルネットワーク事業では、地域の顧客がデジタル技術の利便性を享受できるようサポート体制を強化する。2030年12月期には売上高40.3億円、定常収入7.2億円、経常利益3.1億円を目指す。
戦略としては、金融商品の取り扱いを見据えたスタッフの資格取得支援や、地域のデジタルデバイド解消に貢献する出張型サービスを展開する。また、本部に業務集約拠点を設置してオンライン対応可能な業務を集約することで、店舗運営の生産性向上を図る。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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