*11:03JST ALiNK Research Memo(3):tenki.jpはフォロワー250万以上の国内最大級プラットフォーム(1)
■ALiNKインターネット<7077>の事業概要
同社はtenki.jp事業、IPプロデュース事業、太陽光コンサルティング事業、その他の事業と4つの事業を展開している。詳細は以下のとおりである。
1. tenki.jp事業
tenki.jp事業は、同社の連結売上高の54.5%を占める(2026年2月期実績)基幹事業であり、主に「tenki.jp」と「tenki.jp 登山天気」の2つの気象関連サービスを展開している。主力サービスである「tenki.jp」は、日本気象協会との共同運営による総合気象情報メディアであり、天気予報、防災情報、観測データなど多角的な情報をPC及びスマートフォン向けに提供している。年間ページビュー(以下、PV)数は53億(2026年2月期実績)に上り、高いユーザーリーチを有している。Xでは約250万のフォロワー(「tenki.jp」のフォロワー数。2026年4月時点)を有しており、発信力や影響力の面においても国内最大級の天気情報メディアである。同サービスは2週間先までの天気予報、1時間ごとの天気、雨雲レーダーなどの基本情報を無料で提供していることに加え、気象予報士による専門的な解説、洗濯指数、お出かけ指数、花粉飛散情報など生活密着型のコンテンツも充実している。また、広告の非表示や一部機能の拡張が可能となる月額課金型サービス「tenki.jp ライト」も提供しており、ユーザー体験の最適化を図っている。
「tenki.jp 登山天気」は、日本三百名山をはじめとする人気の山岳地域を対象とした登山者向けの専門天気情報サービスであり、スマートフォンアプリとして提供している。登山口から山頂までの標高別の気象情報、雷危険度、台風接近情報などをリアルタイムで提供しており、安全な登山計画の立案を支援している。同サービスは気象業務法に基づき、不特定多数への公開が制限されているピンポイント予報を含むため、有料会員サービスとして提供している。料金体系は、機能に一部制限のある「ライトプラン」が月額240円(税込)、全機能を利用することができる「プレミアムプラン」が月額550円(税込)、年払いにすると4,980円(税込)となっている。
tenki.jp事業の収益の柱は広告収入であり、広告配信においてはアドネットワークの活用に加え、海外の先進的なプロダクトも積極的に取り入れながら、広告パフォーマンスの最大化を図っている。なかでも、独自の気象データ連動型広告システム「天気マッチング広告」により、気象条件の変化に応じて広告内容を最適化する仕組みを構築し、広告効果と収益性の向上を実現している。
なお、「tenki.jp」は同社と日本気象協会の共同運営体制となっており、両者が役割分担を明確にして運営に当たっている。具体的には、同社がWebサイト及びアプリの企画・設計、システム開発、広告運用の最適化などを担当し、日本気象協会は気象データの提供及び気象関連コンテンツの企画・制作を担っている。広告収入はレベニューシェア方式を採用しており、分配比率は同社が49.5%、日本気象協会が50.5%となっている。
また、2024年7月に無料会員制度「tenki.jp メンバーシップ」を開始し、広告収入への依存を和らげる収益基盤の多様化を進めている。メンバー登録により、利用者の属性・居住地・関心事項に応じたパーソナライズ情報の提供が可能となり、第1弾サービスとしては自宅周辺の災害危険性やハザードマップ、避難対策や防災グッズの提案を行う「いのちを守る 防災診断」を導入した。加えて、メンバー向けには「My天気・防災」、ポイントプログラム、端末間での登録情報共有などの機能も用意されており、日常的な利用頻度、滞在時間、ユーザーとの継続的な接点の拡大につなげる設計となっている。同社は会員数の拡大とARPUの向上により収益モデルの高度化を進める方針を掲げており、将来的には課金モデルの拡充も視野に入れながら、天気情報メディアから個々人の生活に寄り添うパーソナルサービスへと進化を図っている。
2. IPプロデュース事業
同社は2024年5月、地域活性化をテーマにしたキャラクターコンテンツ「温泉むすめ」を展開するエンバウンドを買収し、IPプロデュース事業を開始した。同事業では同コンテンツのプロデュース、企画立案、コンテンツ制作、イベント・メディア運営などを一貫して手掛けており、コンテンツの企画力とIP運用ノウハウを生かした多角的な展開を行っている。
「温泉むすめ」は、日本全国の温泉地を舞台として、各地域の伝承・文化的背景・自然の特徴をモチーフとして擬人化したオリジナルキャラクターを用い、温泉地の魅力を発信する地域振興プロジェクトである。アニメ・音楽・ライブイベント・観光施策などと連動したクロスメディア展開を通じて、若年層を中心に全国でファンを獲得している。2026年2月末時点で133のキャラクターが登場しており、うち28キャラクターが観光大使や地域のPRアンバサダーなどに正式就任している。これにより、コンテンツとリアルな地域施策をつなぐハブとしての役割を果たしており、IPの社会的価値と地域連携のモデルケースとなっている。今後は、「温泉むすめ」のブランド拡張に加え、新規IPの開発や他企業・自治体とのコラボレーションによるライセンスビジネス、グッズ販売、デジタルコンテンツ配信など、多面的な収益化モデルの構築を視野に入れており、同社の新たな成長ドライバーとして位置付けている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 吉林 拓馬)
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