*13:08JST IIF Research Memo(8):既存拡大と新規事業・M&A推進で飛躍的成長へ(1)
■インターネットインフィニティー<6545>の中期的な経営方針
同社は2023年6月、コロナ禍の収束を機に「中期ビジョン2025」「中期戦略における重点戦略」について再度整理を行い、新たにIIF Vision2030を策定した。その後、2026年6月には足元の業績動向などを考慮し、利益計画及び成長戦略を最新版にアップデートしたことで2030年3月期の業績予測が加わった。中期的な経営方針として同社は、リハビリ型デイサービス「レコードブック」を中核とした介護予防事業を展開するとともに、介護事業者向けDXソリューションや介護関連サービスを組み合わせることで成長を目指している。足元では既存事業の着実な成長に加え、セントワークスの連結化を契機とした介護業界向けDXソリューションの拡大を推進しており、中長期的な事業規模の拡大を図っている。同社を取り巻く事業環境は良好である。高齢化の進展に伴い、要支援者や軽度要介護者を中心とした高齢者人口の増加が続いている。また、医療費や介護費などの社会保障費の増加が社会課題となるなか、介護予防や健康寿命延伸に対するニーズは一段と高まっている。一方で、労働人口の減少に伴う介護・医療人材不足は深刻化しており、介護サービスの効率化やDX化への需要も拡大している。このような環境変化は、介護予防サービスと介護DXの双方を展開する同社にとって事業機会の拡大につながる可能性が高い。事業面では、全国242店舗まで拡大したリハビリ型デイサービス「レコードブック」を中心に、高齢者の健康寿命延伸を支援している。また、約11万人のケアマネジャーネットワークを活用したシルバーマーケティング支援や仕事と介護の両立支援サービスなども展開しており、高齢者本人だけでなく、その家族や介護事業者を含めた幅広い顧客基盤を有していることが特徴である。成長戦略としては、まずレコードブックをはじめとする既存事業の拡大によって安定的な売上高及び利益成長を実現する方針である。既存店舗の稼働率向上やフランチャイズ店舗の拡大を通じて収益基盤を強化するとともに、福祉用具貸与や在宅サービス事業などストック型収益の積み上げを進める考えである。さらに、既存事業から得られる安定収益をベースとして、介護事業者向けソフトウェアを活用したDXソリューション事業の拡大に注力している。セントワークスが展開する介護事業者向けシステムの導入を起点として、業務効率化や生産性向上を支援する各種DXサービスを展開し、介護業界の課題解決に取り組む方針である。人材不足が深刻化する介護業界において、こうした生産性向上ソリューションへの需要は今後も拡大する可能性が高く、同社の新たな成長ドライバーとして期待される。これらにより、最終年度である2030年3月期に売上高8,143百万円、営業利益1,343百万円、親会社株主に帰属する当期純利益790百万円、ROE20.5%、売上高営業利益率16.5%、EPS148円の達成を目指す。
セグメント別の利益計画と成長戦略は以下のとおりである。
(1) レコードブック事業
レコードブック事業では、2030年3月期に売上高2,372百万円、営業利益929百万円を計画している。既存店舗の稼働率向上と積極的な店舗網拡大を両輪とした成長戦略を推進している。直近の稼働率推移を踏まえて事業計画を見直した結果、売上高は前回開示時の計画を上回る見通しとなっている。利用者数は今後も着実な増加を見込んでおり、全店舗ベースでは2028年3月期末26,154人、2029年3月期末29,107人、2030年3月期末32,331人へ拡大する計画である。高齢化の進展や介護予防ニーズの高まりを背景として利用者基盤の拡大が続く見通しであり、事業成長の重要なドライバーになると考えられる。稼働率については、新規出店の増加に伴い全店舗ベースでは2028年3月期末67.0%、2029年3月期末65.0%、2030年3月期末63.9%と推移する計画である。一方で、既存店舗ベースでは2028年3月期末73.9%、2029年3月期末76.5%、2030年3月期末79.1%へ上昇する見込みであり、既存店の収益力向上が継続する想定となっている。新規出店に伴う稼働率の一時的な希薄化を織り込みながらも、成熟店舗の利用者数増加によって収益性を高めていく戦略である。店舗展開については、物件開発における課題解決を進めるとともに、既存FC加盟店への運営支援を強化することで2店舗目、3店舗目の出店を促進し、増店ペースの加速を目指している。店舗数は2028年3月期末300店舗、2029年3月期末342店舗、2030年3月期末382店舗まで拡大する計画であり、引き続き高い出店成長を見込んでいる。また、新たな取り組みとして、レコードブック店舗において福祉用具貸与・販売サービスを提供する「レコードブックX」の展開を進めている。既存サービスとの親和性を生かしながら、利用者への提供価値向上と収益機会の拡大を図る方針であり、対応店舗数も順次拡大している。さらに、直営店については段階的にフランチャイズ加盟店へ譲渡する方針を継続している。直営店舗運営に伴う人的・資本的負担を軽減するとともに、ロイヤルティ収入を中心とした収益構造への転換を進めることで、事業効率の向上を図る考えである。
(2) アクティブライフ事業
アクティブライフ事業では、2030年3月期に売上高1,387百万円、営業利益181百万円を計画している。福祉用具貸与事業を中心としたストック型収益の拡大を成長戦略の中核に据えており、高齢化の進展に伴い福祉用具需要の増加が見込まれるなか、利用者数の着実な積み上げを通じて安定的な売上高及び利益成長を目指す方針である。福祉用具貸与サービスの利用者数は、2028年3月期末7,374人、2029年3月期末7,612人、2030年3月期末7,792人を計画しており、継続的な顧客基盤の拡大を見込んでいる。福祉用具貸与事業は契約期間中に継続的な収益が発生するストック型ビジネスであり、利用者数の増加が中長期的な収益基盤の強化につながると考えられる。足元では、フルケア及びカンケイ舎が展開する福祉用具貸与事業は堅調に推移している。一方で、正光技建が手掛ける住宅リフォーム事業については、構造改革の進捗が当初想定を下回った影響から、売上高は計画どおりに推移したものの利益は計画を下回る結果となった。こうした状況を踏まえ、同社は2026年6月にフルケアによる正光技建の吸収合併を実施した。今後は両社の経営資源を統合することで、住宅改修(リフォーム)案件の営業活動を効率化する方針である。福祉用具貸与事業と住宅改修事業は顧客基盤や営業チャネルに共通点が多く、両サービスを一体的に提案することでクロスセル機会の拡大も期待される。一方で、中期計画においては、フルケアと正光技建の統合後の事業計画を見直した結果、従来計画と比較して売上高及び営業利益の見通しは引き下げられている。これは事業規模の拡大を優先するのではなく、収益性を重視した事業運営へ転換する方針を反映したものである。同事業は今後、福祉用具貸与事業による安定収益の積み上げを軸としながら、住宅改修事業との連携強化による顧客単価向上を図ることで、持続的な成長を目指す考えである。特に吸収合併によるシナジー創出と営業効率化の進展が、中長期的な収益改善のカギを握ると考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木 稜司)
<HN>