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テスラが開発した無人運転タクシー「サイバーキャブ」上陸の衝撃 日本のタクシー運転手は失業してしまうのか? AIに代替されかねない職業に求められる“正しい備え”

テスラの無人運転タクシー専用車両「サイバーキャブ」。すでに米テキサス州では運行を始めているという(Getty Images)

テスラの無人運転タクシー専用車両「サイバーキャブ」。すでに米テキサス州では運行を始めているという(Getty Images)

 テスラの無人運転タクシー専用車両「サイバーキャブ」が日本でも公開された。運転手の代わりに8つのカメラとAIが周囲の認知から運転動作まで行うもので、すでに米テキサス州の一部で運行を始めている。はたして今後、日本でも普及していくのか。その際、タクシー運転手という職業はどうなるのか──。イトモス研究所・小倉健一氏が分析する。

タクシー運転手は本気で自分の将来を心配

 昨日、タクシーに乗ったら、若い女性の運転手さんが震えていた。サイバーキャブが走り始めた。日本にもいずれくる。いよいよ危ない、どうにかならないのかと、本気で自分の将来を心配していた。

 日本のタクシーは人手不足なのだから、今すぐ仕事がなくなるという話ではない。そう説明する材料はある。気になったのは、人手不足を理由に安心を説く議論も、失業への不安から導入に反対する議論も、どちらも利用者の側をあまり見ていないことだった。

 テスラのサイバーキャブは、ハンドルもペダルもない2人乗りの車だ。2026年9月11日の東京・青山を皮切りに、国内4会場で実車を展示する。ただし、テスラの案内に国内の無人営業開始日の記載はない。今回の「上陸」は展示であり、街のタクシーが直ちに置き換わる話ではない。

 運転手を採用する側は、むしろ苦労している。国土交通白書2025によると、タクシー運転手は2019年度から2022年度に約5万人減った。2023年3月末を底に増加へ転じた後も、人材の確保が課題になっている。

 一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会(全タク連)の〈令和7年賃金構造基本統計調査」によるタクシー運転者の現況〉によると、2025年の年間賃金推計額は平均450万8200円。前年より8.7%増えた。平均年齢は56.8歳である。

 引退する人の分を無人車で埋めるなら、会社は解雇をせずに運転手を減らせる。若い人は、その入れ替わりの先まで働く。会社が乗務の仕事をどれだけ残し、どんな給料を払うのか。今の賃金は、現在の需要と供給のもとで成立している。技術が変われば、働く人に求められる役割も変わる。

横から見たサイバーキャブのエクステリア(Getty Images)

横から見たサイバーキャブのエクステリア(Getty Images)

ロボタクシー導入による運転手の収入への影響

 すでに中国では、ロボタクシー導入による運転手の収入への影響を調べた研究がある。Zhen Yuらが2026年4月29日に発表した「Robotaxis reduce taxi drivers’ income」では、タクシー会社3社の2024年1月から8月までの営業記録、20万件超を分析している。

 百度のロボタクシー「Apollo Go」の営業区域に重なる江夏区と、比較対象の武昌区で、導入前後の変化を比べた。江夏区の通常のタクシーの1日当たり営業収入は、導入によって10.9%減ったと推計されている。対象は車両ごとの売上だ。地区外で営業できないタクシーを調べた短期間の結果で、日本の運転手の減収率を予測した数字ではない。

 別に行った運転手180人へのアンケートでは、ロボタクシーの営業区域が広い地域で、回答者の約7割が労働時間を増やしたと答えている。不眠やいらだち、転職を考えるという回答もあった。

 日本でも売上に応じて給料が変わる歩合給を採る会社が多い。厚生労働省の職務情報提供サイト「job tag」でも説明されているこの仕組みにおいては、客の減少が給料に響く。働く時間を増やして収入を保てば、今度は休む時間が減る。自動運転の影響は、給与と労働時間にも表れる。失業者数だけで判断すれば、変化を小さく見積もることになる。

 利用する側の事情も切実だ。通院のために車を呼びたい人、夜に帰宅する足がない人にとって、必要なときに乗れる車が増える価値は大きい。運賃を下げられるなら、これまで利用を控えていた人にも手が届く。安全を確かめながら、こうした利益を広げることには賛成だ。既存の雇用を維持するために利用者が高い料金や長い待ち時間を受け入れるなら、その負担も政策判断に含めなければならない。

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