テスラ日本法人に浮上した“自爆営業”疑惑(時事通信フォト)
世界有数の富豪、イーロン・マスク氏が率いるテスラ社。電気自動車(EV)の雄として知られ、その近未来的な外観や性能に惹かれるファンは多い。目下、日本でも販売台数は急増しているが、その裏では問題を孕んだ営業行為が横行していた。その証拠となる日本法人トップの会議音声を独占入手した、自動車生活ジャーナリストの加藤久美子氏がレポートする。【前後編の前編】
社員のインセンティブは納車数ではなく注文数
最近、テスラ車を路上で見かけることが増えたと感じる読者も少なくないだろう。日本法人「テスラジャパン」の販売は長らく伸び悩んでいたが、近年は接客重視を打ち出してショールームも増加させた。
国や自治体の制度を組み合わせれば、最大227万円にも及ぶ補助金も後押しとなり、業績は好調。テスラは公表していないが、日本自動車輸入組合の資料から推計すると、2025年の国内販売台数は前年比9割増の約1万600台で、過去最高を記録した。その勢いに冷や水を浴びせたのが『ダイヤモンド・オンライン』や『週刊文春』が相次いで報じた「自爆営業疑惑」だ。
テスラ日本法人のトップ橋本理智氏(インスタグラムより)
テスラは日本車のディーラーと異なり、基本的にオンラインで注文が完結する販売方法を取る。顧客が車の購入を希望する際、最初に「注文料」として1万5000円を支払う。この支払いは注文をキャンセルしても戻らない仕組みだという。
問題は、テスラの営業社員の評価が注文数に応じて決まることだ。テスラ関係者が語る。
「社員のインセンティブは実際の納車数ではなく注文の数で決まるため、一部社員は自腹で1万5000円を払って架空の注文を計上していました。納車と営業は全く別のチームが担うという構造を利用したのです。これが“自爆営業”の正体で、過剰なノルマがプレッシャーになっていた」

