*11:05JST はてな Research Memo(5):「GigaViewer」はアプリ版の累計導入数が4サービスと順調に拡大(1)
■業績動向
2. サービス別売上動向
はてな<3930>の2026年7月期のサービス別売上動向について見ると、テクノロジーソリューションサービス、コンテンツマーケティングサービス、コンテンツプラットフォームサービスといずれも減収となった。
(1)テクノロジーソリューションサービス
テクノロジーソリューションサービスの売上高は前期比2.1%減の2,780百万円と11期ぶりの減収となった。内訳を見ると、受託サービスが同4.0%減の2,025百万円と減収に転じた一方で、サーバー監視サービス「Mackerel」は同3.4%増の755百万円と3期ぶりの増収となった。
受託サービスでは、大型の受託開発案件の納品が前期と比べて少なく、開発売上が落ち込んだことが減収要因となった。前期はマンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」((株)集英社)や任天堂向け「イカリング3」の追加機能開発が売上増に貢献したが、2026年7月期は端境期となった。
「GigaViewer」は、新たにアプリ版で2サービス(「くじらバンチ」((株)新潮社)、「ゼノンプラス」((株)コアミックス))、Web版で3サービス(「一迅プラス」((株)一迅社)、「COMIC Y-OURS」((株)少年画報社)、「まんがタイム Square」((株)芳文社))に導入が進み、2026年8月末時点の導入数は17社28サービス(うち、アプリ版は4サービス)に拡大した。新規媒体の開発売上や既存媒体の運用保守料などが売上に貢献した一方で、レベニューシェア(広告・課金収益等)については前期に「少年ジャンプ+」関連が大きく伸長した反動もあり、変動の大きい結果となった。顧客媒体の成長を支援する「Comic Growth powered by GigaViewer」については、第2四半期より開始した1サービスで集客数や販売額が増加したものの、増加ペースは想定よりも緩やかで、レベニューシェアも計画をやや下回った。2026年7月には2サービス目の取り組みもスタートしており、マーケティング施策の効率化を進めながら2027年7月期はさらなる積み上げを目指す考えである。
一方、「Mackerel」については前期まで続いた主要顧客向けの売上減少が一段落したことに加えて、新機能としてアプリケーションソフトウェアの状態を監視するAPM(アプリケーション・パフォーマンス・モニタリング)機能を加え、サーバーシステム全体に対するオブザーバビリティ※プラットフォームサービスとして「Mackerel」を進化させたことで、新規顧客の獲得だけでなく既存顧客の他部門からの契約を獲得するなどアップセルが進んだことも増収要因となった。なお、解約率については引き続き低水準を維持している。
※ システムの外部出力から内部の状態を推測・把握する能力や取り組み、それを実現する手法を指す。システムの動作や内部状態を理解することで、システムの異常な挙動を特定し、デバッグや障害復旧などに対して迅速に対処できる。
(2)コンテンツマーケティングサービス
コンテンツマーケティングサービスの売上高は前期比12.7%減の541百万円となった。売上高の内訳を見ると、システム構築・利用料や記事制作支援等が含まれるSaaS等が同9.3%減の407百万円と減収に転じたほか、広告売上も同21.8%減の133百万円と減収基調が続いた。企業のオウンドメディアに対する投資予算が縮小傾向にあり運用件数が前期末比5件減の147件と減少したほか、生成AIの普及により記事制作支援サービスの需要も減少したことなどが減収要因となった。
「はてなCMS」の新規開設件数は見込み顧客における検討期間の長期化や予算抑制の影響を受け、前期比2件減の21件となった。一方、解約件数は顧客企業のマーケティング方針変更やコスト削減により、同13件増の26件と過去最大となった。また、既存顧客での広告・マーケティング予算の縮減による広告出稿減少や記事制作需要の減少により、運用件数当たり売上高も前期比2ケタ減と下落基調が続いた。同社では厳しい市場環境に対応すべく、無駄な獲得コストを抑制しつつ既存顧客へのサポートを強化して解約率の低減に取り組むなど、事業全体の収益性を重視した効率的な運用にシフトしている。
2024年10月よりサービスを開始した「toitta」(生成AIを活用したインタビュー分析SaaS)は、AIを活用してインタビュー内容を的確かつ安価に整理・共有できるサービスとして、主に企業のリサーチ・マーケティング部門で高い評価を受け導入が進んでいる。たとえば、マーケット調査等では10〜20人に対して複数の設問を用意してインタビューすることがあるが、あらかじめ掘り下げたい設問内容を「toitta」に設定しておくと、それらの設問に対しての結果をマトリックス上に作成してくれるため、情報を整理する際の工数が大幅に削減される。
2026年1月には独自のAIエージェントを活用することで過去に蓄積されたインタビューデータを横断的に探索し、「ファインディングス(発見)」を複数提案する追加機能「ask toitta」も正式リリースした。過去に実施したインタビューデータの探索・抽出作業は、相応の時間と一定の専門スキルを必要としていたため、これまでは活用されないケースも多く課題となっていたが、「ask toitta」によりこうした課題を解消することが可能となる。導入社数は着実に増加しており、当面の目標として掲げていたARR(年間経常収益)1億円に迫る水準まで成長した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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