どんな経緯でお金を失ったのか(イメージ)
1980年代の「女子アナブーム」期に活躍した70代の元女性アナウンサーが、わずか1か月で「全財産の5000万円を失う投資詐欺に遭った」という――様々なニュースを読み上げてきた女性はなぜ騙されてしまったのか。ライターの河合桃子氏がレポートする。【前後編の前編】
投資で収益を得て姪や甥に財産を残したかった
女性は木田陽子さん(70代、仮名)。1970年代後半、のちに“女子アナブーム”と呼ばれる時代に活躍する女性司会者が台頭し始めた頃、地方局に入社。名司会者として一世を風靡した楠田枝里子と同じ系列局の同期で、新人研修の場では肩を並べたという。木田さんはかつてニュース番組であらゆる事件・事故を報じ、昭和天皇崩御の際には特集番組を担当。女子アナ人気の最盛期を駆け抜けた“元祖女子アナ”とも言える存在で、キャリア中期には新人アナウンサー研修の担当に抜擢される実力の持ち主だった。
「女子アナとして幸せな時代を生きた」という木田さんが、投資話に引っかかり5000万円もの大金を失ったという。「私はたくさんのニュースを読んできたのに、世間のことを何も知らなかった」と肩を落とす。
警察庁の発表によれば、今年上半期の特殊詐欺被害総額は全国で1816億2000万円に上り、被害者の約42%は65歳以上とされている。
婚歴はなく独身で一人暮らしを続けてきた木田さんはどんな経緯でお金を失ったのか。
「40代で地方局を退職後、フリーアナウンサーとして事務所に所属し活動してきました。大きな事務所ではなく、主な仕事は結婚式の司会。次第に立ち行かなくなり、職を転々とした。独身だったのは、結婚願望がなかったから。生涯独身を覚悟し、70歳時点でコツコツ貯めた貯金は500万円ほどでした。しかし4年前に親族が亡くなって、遺産相続で4500万円のお金が口座に入ったんです。そのお金とそれまでの貯金を投資詐欺ですべて失ってしまった。騙されたのは愚かのひと言ですが、欲をかいたわけではなく、投資で収益を得て姪や甥に財産を残したいと思ったのです……」
見知らぬLINEグループに“自動的に”加入
木田さんは70歳前後に約1年間、ある親族を住み込みで介護していた。三度の食事を作り、時には入浴の介助をするなどつきっきりで介護し、「他者との交流を絶たれ孤立していた」という。
すべての始まりは、孤立した生活のなかで突然見知らぬLINEグループに“自動的に”加入させられたことだった。
「A」の最初のLINE上での挨拶
「親戚宅に住み込んでいた2022年年始から春頃だと思います。『A先生(仮名)の錬金術』というグループLINEに、気づいたら入っていました」

